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2010-10-20 07:27
無党派層の民主党離れで、補選は町村勝利へ
杉浦 正章
政治評論家
10月24日投票に迫った衆院北海道5区補欠選挙で自民党の町村信孝が先行、逃げ切る流れとなった。重要ポイントは、昨年の総選挙で民主党を圧勝に導いた無党派層が、参院選に引き続きうたかたの如く消えた事だ。菅改造内閣発足後初の国政選挙での自民党勝利は、臨時国会での補正予算案審議に影響をもたらし、早期解散・総選挙ムードを促進させるものとみられる。主要各紙の世論調査によると、朝日が「町村氏がやや先行。民主新顔の中前茂之氏が懸命に追っている」、読売「町村氏が先行し、中前氏が追う」、共同「町村氏が優位に戦いを進め、中前が追い上げる展開」とほぼ共通している。
注目点は無党派層の動向だ。朝日は「町村は無党派層から7割の支持を集め、民主支持層の2割も取り込んでいる」と分析。読売も「無党派層の町村氏支持が4割強に達している。中前氏は民主支持層の7割を固めたが、無党派層の支持は1割強」としている。このような無党派層の民主党離れは、民主党に風が吹いていないことを物語っている。新人候補の場合、風が吹かない選挙は圧倒的に不利となる。これが総選挙に反映すれば、小沢チルドレンはバブルと消える運命にあることを物語る。原因は何かと言えば、菅政権挙げての総力戦と位置づけている割りには、大物議員を応援に派遣するだけで、選挙を意識した「政治」が行われていないことにある。
争点となっている「政治とカネ」では、小沢支持グループが再結束の動きを見せて、ひんしゅくを買っているし、「小沢強制起訴」も打撃だ。官房長官・仙谷由人は国会審議で暴言を繰り返し、決算委員長や予算委員長から異例の注意を受け、参院では問責決議の動きまで出ている。尖閣事件は戦後最大の外交的敗北と位置づけられ、ロシア大統領の北方領土視察の動きを誘発、北方領土に関心の深い北海道では菅内閣の外交への反発を生じさせた。不況の直撃を食らっている地域に「円高無策」の追い打ちがかかる。マニフェストは財源問題で色あせた。要するに、民主党政権への信用度が著しく低下した逆風の中での国政選挙となっているのだ。
ここまで来ると、町村リードはまず動くまい。無党派層の民主党離れは、通常国会で菅政権を解散・総選挙に追い込むことを基本戦略としている自民党を勢いづけるに違いない。原因が、民主党政権の構造的欠陥に根ざしているだけに、有権者の評価がいちど冷え切ったら、なかなか回復は難しいだろう。菅以下参院のねじれ対策で対野党融和姿勢を打ち出しているが、補選勝利は、自民党に自信回復作用をもたらし、融和より対決ムードを強める流れとなるだろう。
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