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2010-10-28 07:31
献金受領は民主党の“卑しき逆走”だ
杉浦 正章
政治評論家
「武士は食わねど高楊枝」で企業・団体献金全面禁止路線をとってきたかと思っていたが、民主党はその「自制」の枠を外した。のどから出てくる手を押さえられなくなったのだ。明らかに「政治とカネ」でのクリーン政党を標榜してきた路線を“逆走”している。政党としての「卑しさ」すら感ずる対応だ。これでは自ら批判してきたかっての自民党とそっくりだ。パフォーマンスの事業仕分けよりも、「政党仕分け」で自らを仕分けする方が先ではないか。
おそらく幹事長・岡田克也以下民主党幹部には、財界人などと会合を持つ度に、“おいしい誘い”が繰り返されてきたに違いない。その誘いとは、「献金を自由にできるようにしてくださいよ」である。財界人としてみれば、カネを政治への接近の手段にするのが一番手っ取り早いコネ作りになるからだ。「カネも出す代わりに、口も出したい」に違いない。自民党時代のような「政官業」トライアングルの復活を狙っているのだろう。誘いのたびに、岡田らののどから手が出かかったのだろう。そうしてたどり着いたのが、「マニフェストも3年後の禁止と書いてある」という言い訳である。しかし、首相が本会議で述べたことが公約でなくて、何であろうか。
首相・菅直人は就任したばかりの6月15日の参院本会議で、企業・団体献金について「全面禁止することによって、不祥事の再発を防止すべきだ。速やかに与野党の協議機関を設置し、建設的な議論をしてもらいたい」と明言。企業・団体献金の全面禁止を訴え、政治資金規正法改正に向けた与野党協議を促している。その舌の根も乾かぬうちに、「あのマニフェストでは、法改正から3年後、そうした企業団体献金を禁止するという形になっていまして。マニフェストに反したということではありません」はないだろう。3歩歩いて前言を翻す前首相の「ビョーキ」が伝染したような対応ではないか。
民主党執行部は、国会でも、テレビ討論でも、「政治とカネ」の不祥事を「企業・団体献金の全面禁止」と常に連動させてきた。しかし、事態は改善されたわけではない。小沢一郎の国会招致問題は焦眉の急となっているし、小沢の強制起訴も間近だ。鳩山由起夫の「子ども手当疑惑」も解明されないままほおかむりの状態が続く。民主党はマニフェストに「3年後」の禁止を打ち出し、自粛の形で全面禁止をして、衆院選に圧勝した。その公約の事実上は破棄である。財源はいくらでもあるとした財源論と並んで、マニフェストは有権者をだますための手段と位置づけていたのかということになる。
さすがに良心に引け目を感ずるのか、外相・前原誠司から「国民からすれば、違う方向を向いていると受け取られても仕方がない」と批判の声があがったが、党内の「背に腹は代えられぬ」という現実論にかき消されがちだ。全面禁止を声高に訴えた小沢一郎も自分の強制起訴対策で手一杯なのか、声も上げない。みんなの党代表・渡辺喜美が「有言実行どころか、言葉が泳いでいる。これが民主党政権の実態だ」と述べているとおりだ。またまた悪徳業者の製品不当表示のようなうそが1つばれたことになる。
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