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2010-11-27 18:18
今こそ日本は、北朝鮮との関係打開のイニシアチブをとれ
吉田 重信
中国研究家
朝鮮半島情勢が緊張し、その責任が一方的に北朝鮮側にあるかのごとき見方が圧倒的に多い。たしかに、「北」は追い詰められた虎のような「トラウマ」状態に陥っているようだ。しかし、歴史を振り返れば、「北」が米国、ソ連、中国、日本の大国間の政治的ゲームに翻弄された「犠牲者」であることは明らかだ。
朝鮮半島がかつての「バルカン情勢」と同じようになったのは、、もとはといえば、日本帝国の朝鮮支配が崩れ、軍事的空白が生じたためである。加えて、カイロ会談で、ルーズベルト米大統領が判断を過まち、こともあろうにスターリンに東北アジアでの参戦を要請し、そのソ連参戦の結果、ソ連軍に後押しされた金日正ゲリラ部隊が「北」を支配することになったものであり、朝鮮半島の分断はいわば「米ソ間の話合い」によって始まったのだ。
その後「北」は、ソ連のそそのかしの下に朝鮮戦争を始め、結果として大規模な中国人民解放軍の参戦を招いた。朝鮮戦争で最も得をしたのは、特需で儲けた日本であり、「北」は孤立の憂き目にあって最も損をした。その状態がいまなお続いている。
以上を考えれば、「北」をこれ以上孤立させて、中国に一方的に依存させるよりも、「北」との国交を正常化するなどして、「北」を国際社会に引き出すように促すことが肝心である。日本は、小泉元首相の「ピョンャン電撃訪問」によって打ち出された「北」との関係改善のイニシアチブを、今こそとるべきだと考える。日本外交にとっては、千載一遇のチャンスである。もっとも、米国や中国は歓迎しないであろうが、そこを上手くさばくのが日本外交の「腕の見せ所」である。
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