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2010-12-23 13:58
海上保安庁職員の懲戒停職処分について考える
吉田 重信
中国研究家
このほど、海上保安庁当局は、先の同庁職員の公務員法違反を犯した一色某職員に対し、懲戒停職処分とした。予想された結果であったが、決定は遅きに過ぎた感がある。処罰対象は、長官、上司を含む20名あまりにおよび、海上保安庁の歴史始まって以来のおそらく最大の不祥事となった。罪を犯した職員の責任は重大である。海上保安庁そのものや同僚たちへの国民の信頼を大きく喪失させた罪は計り知れない。
とくに、懲罰された一色某職員は、問題のビデオ資料をこともあろうに先に米国の有力メディのCNNに提供していた事実に注目する。CNNが米国諜報機関と密接な関係があるのは周知の事実である。ビデオの内容は、現下の日中間関係に悪影響を及ぼしかねない重要な外交上の機密であったが、もし中国の機関などに提供されたとすれば、日中関係はさらに険悪化する恐れがあった。
それが生じなかったのは、日本国にとって不幸中の幸いだったといえる。科された懲罰は、上から二番目に相当するものであったが、懲戒免職にしなかったのは、本人に年金等の受領を認めるという当局の恩情によるものである。しかし、本来ならば懲戒免職に値する重大な犯罪行為であったと考える。
本人の流出行為の意図については、本人は黙して語らずであるが、結局はコンピューター遊びにうつつをぬかした挙句の、「世に騒ぎを起こす」誘惑に負けた、犯罪分類ではいわゆる「愉快犯」の類にすぎなかったのであろう。また、マスコミが讃えた「国民の知る権利」に奉仕するという誤った考え方に影響されたのかもしれない。その意味で、本人はマスコミ害毒の犠牲者であり、「義賊」ならぬ「戯賊」、「偽賊」、「犠賊」だったのかも知れない。「義賊」などと大騒ぎしたマスコミや一部の無責任な自称「評論家」連中の罪こそ問われなければならない。
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