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2011-02-04 07:34
小沢の政局分析が“冴え”をみせている
杉浦 正章
政治評論家
政治家も追い詰められると必死で見通しを立てるからなのか、民主党元代表・小沢一郎の政局分析がこのところ冴えている。昨年11月頃から側近らに「解散近し」の警鐘を鳴らし、「民主党議席が100を割る」とか、「公明党が総選挙と地方選挙のダブル選挙を厭わない」とかと、裏情報で政局をリードしている。しかし、国会招致など自らの対応となると、その判断は、いまひとつぱっとしない。小沢の義理堅さは、田中角栄亡き後おそらく政界随一であろう。とりわけ恩師田中を徹底的に模倣しているのか、冠婚葬祭の「葬」への配慮は格別なものがある。2月3日も、鹿児島県肝付町にある元自民党副総裁・二階堂進の墓参りをした。二階堂は「趣味は田中角栄」といってはばからなかったが、2000年の同日に没している。小沢は田中にも可愛がられたが、二階堂にも可愛がられ、昔は「じじい殺し」と言われたものである。
遺族を前に挨拶し「先生の不肖の弟子ですが、先生の教えを受けながら、精いっぱい、一生懸命頑張っています」と挨拶している。興味深いのは、その前夜鹿児島市で側近議員に話したという政局見通しだ。朝日新聞だけが4日報じているが、小沢は「(首相・菅直人が)総辞職せず、衆院を解散する。総選挙は早いぞ」と述べたというのだ。小沢は、昨年11月から「やぶれかぶれ解散するのではないかと心配している」と、行き詰まった場合には菅が総辞職より解散を選択すると警鐘を鳴らしており、その分析は全くぶれていない。さらに、小沢は公明党が対決姿勢を強めていることにも触れ、「公明党は『4月の統一地方選と総選挙が同日選になっても、勝てる』と考えており、本気で民主党と戦おうとしている」と分析したという
この見通しは、3日になって当たっていることが分かった。公明党代表・山口那津男が「菅政権はマニフェスト通りに実現できなければ、信を問うか、総辞職するのが、筋だ」と述べるとともに、焦点の予算関連の特例公債法案について、反対する考えを明言したのだ。これは同法案の反対に回ることにより、菅が解散に踏み切り、統一地方選挙とのダブルになっても構わないということを意味する。小沢の分析は的中している。
「民主党が100を割る」との分析もそうだが、小沢の政局分析には“我田引水”がなく、ストレートで、実に客観的だ。100議席を割れば自分がどうなるかは、二の次で度外視して、分析しているから、面白いのだ。その二の次がどうなるかだが、民主党とりわけ小沢グループが「政治とカネ」議員とみなされ、激減することは間違いない。選挙になれば、数が頼りの小沢の政治力は喪失する。ロッキード事件で「灰色高官」とされた二階堂は、鈴木・中曽根両内閣で幹事長に復権したが、いくら二階堂を拝んでも、小沢を使う政権はもうないだろう。しかし、自らが議員辞職も、離党もしない、と突っぱねることで、逆に執行部を追い込めるという“読み”は、ずばり当たった。民主党執行部は小沢の処分ができぬまま右往左往の醜態を見せ続けている。
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