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2011-02-18 07:44
民主ついに分裂状態、「壊し屋小沢」が壊し始めた
杉浦 正章
政治評論家
いやはや、会派集団離脱組の記者会見を見て驚いた。見たことも聞いたこともない連中ばかりで成り立っている。これが紛れもなく小沢一郎による党内抗争の“先兵”として「使い捨て」されるわけだ。しかし、この“奇襲攻撃”に首相・菅直人と幹事長・岡田克也の反応は、動揺を隠すのに精一杯で、側近も含めて「野武士小沢」の襲来をまえに、右往左往する公家集団を演じた。民主党は分裂・崩壊過程に入った。“仁義なき戦い”の行き着くところは、内閣総辞職か、衆院解散しかないだろう。上手の手からは水がこぼれるもので、小沢が鳩山に旗揚げを「今日聞いた。オレも知らなかった」と電話したのは、やぶ蛇もいいところだ。下手なアリバイ工作はしない方がいい。筆者は、数日前から小沢が「考えがある」と漏らしたのを察知していたし、核心のすべてが2月18日付朝日新聞の記事にある。小沢は離脱組中核メンバーと16日夜に会い「菅ではもうダメだ。民主党もダメだ」と述べ、励ましたというのだ。これだけの奇策の筋書きを書けるのは、小沢しかいまい。
その離脱組だが、なぜか「薄汚い」とか「不愉快」といった気持ちが先に立つ。離脱の理由など聞きたくもないものの、しょうがないから聞いたが、大義が全くないのだ。本質は、倒閣運動の先兵でありながら、主張に「マニフェスト順守」を掲げても、尻が割れている。おまけにマニフェストの修正は党大会で決まったことである。「消費税反対、減税を」という主張も「売国的」時代錯誤にあふれている。背後の思惑が「政治とカネ」隠しに他ならないから、何を言っても説得力がないのだ。メンバーは、総選挙で比例代表だけに立候補した議員で、候補者名ではなく「民主党」という政党名による得票で当選した連中だ。もちろん小沢に名簿に入れてもらった結果の当選でもある。現下の民主党の支持率では、解散になっても当選する可能性はゼロであり、「小沢先生」の“甘言”に、わらにもすがる気持ちで飛び乗ったに違いない。ティッシュのように使い捨てになるのも知らないままである。
世論の反発は必至であるが、度し難いほど異常なる「小沢教」の党内世論の一部は同調するだろう。しかし、予算関連法案の再可決を不可能にする16人を確保しただけで、小沢は第1ラウンドの勝負に勝った。さらに加われば、盤石となる。名古屋の河村たかしなどとの連携指向だが、「バブル河村」などと連携しようというセンスが疑われる。一方で、奇襲を受けた執行部側の対応もなっていない。岡田はマニュアル人間の本質を露呈させ、「党にいながら会派離脱するのは、規約上ありえない」などと宣うたが、倒閣運動の本質を見据えていない。けんかするのに規約もへったくれもないのだ。「意味のないパフォーマンスと言われても仕方ない」とも批判したが、評論家をやっているときでもあるまい。菅も「全く理解できない行動」と首をかしげたが、小沢の魔手がひしひしと自らの身に迫っていることを感知できないとしたら、ルーピー鳩山並みだ。執行部としては打つ手なしが実情だろう。
今後の展開だが、内閣総辞職か、解散へのテンポが早まる流れだろう。また、総辞職のうえ、新首相を選出して、解散という展開もあり得る。後継候補は、外相・前原誠司が反小沢側、財務相・野田佳彦らが小沢側で激突する可能性があるが、まだ分からない。政権を壊しては作ってきた「壊し屋小沢」の面目躍如の奇策だが、今回は世論の支持は得られまい。本質は「政治とカネ」隠しであり、予算を人質に取っての権力抗争でもあるからだ。小沢は民主党を壊せても、連立政権の核になる役割は、野党の総反発もあり無理だ。大義がないのだ。自民党など野党にとっては、政権内部から予算人質の動きが出てくれれば、またとない好材料だろう。批判の矛先を転じられるからだ。ころを見計らって首相問責決議案を参院で可決させれば、菅はひとたまりもあるまい
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