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2011-03-07 01:56
前原外相の辞任について思う
吉田 重信
中国研究家
前原誠一外相の辞任は当然である。ただし、同外相の選挙区であった「在日」からの少額寄付がその辞任の理由とされていることには、納得がいかない。京都には、同地で生まれ、育った在日朝鮮半島人が多数住んでいる。彼らを日本人から区別することは、日本人の在日朝鮮半島人に対する「差別意識」の反映であると考えるからである。
筆者が前原辞任を当然と考える理由は、昨年10月28日付けの本欄に対する筆者の投稿で指摘したとおり、同氏が外相としての資質を著しく欠いていることにある。同氏は、かねてよりの軽挙妄動的な言動や、外相としては中道を外れたあまりにも強硬な姿勢によって、日本の外交政策の選択の幅を狭めてきた、と筆者は危惧してきた。
筆者の見解によれば、日中間の尖閣漁業/領土問題は、前原前国土交通大臣によって仕組まれたものであり、したがって、同氏は日中関係緊張の元凶であった。中国政府も「前原氏は米国CIAとネオコンの手先である」として、不信感を抱き、あからさまな「前原はずし」を策動してきた(中国政府・党幹部の発言、中国メディアの扱いぶりなど)。
今や、中国は、前原外相の自滅のような辞任に、さぞかし喝采を叫び、他方、前原外相に期待を託して、日米同盟の強化に向けて種々画策してきた米国はがっかりしていることだろう。このような前原氏を外相に任命した管首相の責任はあまりにも大きい。また、同氏の対中、対ロの強硬姿勢をこぞって讃えてきた、日本の一部言論人たちは、その深刻な誤りを認めるべきであろう。前原氏辞任により、菅政権もいよいよ終焉に近いが、日中関係はますます正常化の可能性から遠ざかっている。日中関係を大きく打開するには、政権が交代し、新政権が中国に対して積極的なメッセージを送ることによって展望が開かれるであろう。それを期待したい。
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