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2011-03-10 19:50
メア発言で暴かれた真実のもう一つの側面
吉田 重信
中国研究家
沖縄県民批判の問題発言をしたメア元米国務省日本部長が罷免されたのは、当然といえば当然である。同氏の発言はあまりにも軽率な発言であったが、米外交当局の日本についての「本音」をはからずも露呈したといってよい。
「沖縄住民は怠惰で、ゆすりの名人だ」とするメア氏の侮辱的な発言は、真実であるがゆえに、沖縄住民や当局の怒りを買ったと思われる。筆者は、昨年、沖縄に旅行して、住民の「本音」を聞き取ったが、沖縄住民の一部にメア氏が指摘するような一面があることを否定しない。
しかし、同氏の発言は、真実の片面しか触れていない。ほかに隠された一面とは、米政府は、かつて日本占領で獲得した米軍基地という既得権のうえに胡坐をかいたまま、「基地を返してもよいが、その代わりにもっと金を出せ」と日本政府を繰り返しゆすっているという実態である。米政府こそが、「ゆすりの名人」であるのだ。このような実態は、遺憾ながら、かって日本が米軍に占領されたという厳然たる事実から派生している。
筆者は、米政府は「沖縄から米軍基地をグアムに移転してもよいが、移転や新規建設にかかわる費用のすべてを出せ」と日本政府に要求した、と関係者から聞いている。占領から、すでに半世紀以上も経った今でも、米政府当局者は、このような占領者意識を引きずっているのが現実である。今回の事態は、日米政府当局者が否定するか否かにかかわらず、日本が引き続き米国の属国であるという冷酷な事実を露呈したものといえる。故佐藤首相が嘆いたように、「日本の戦後は終わっていない」のである。
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