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2012-03-26 16:27
若者に冷たい民主党
船田 元
元経済企画庁長官
今年度の卒業式シーズンも、ようやく終了した。今年も一段と就職難となっており、高校や大学の卒業生の中には、未だに就職の内定をもらえない学生も少なくない。卒業後も就職活動を続けざるを得ないという、異常な状態が生じている。そうした中政府・民主党は、先日国家公務員の新規採用人数を、現在の約8,500人から7割も削減する方針を打ち出した。公務員の総人件費を2割削減することが、民主党の選挙公約であったし、消費税増税の前提条件としてクローズアップされてきたことも背景にある。
すでに今後2年間に公務員給与を7.8%削減することが国会で決まっているが、2割削減という目標には程遠い。そこで民主党は少しずつ公務員定数を削減してきているが、今回思い切って新規採用を減らす策を打ち出さざるを得なかったようだ。ところがこの策には多くの問題を孕んでいる。まずは国家公務員の年齢構成が歪になることだ。
今回の策が1年で済むことかどうかも不透明であり、仮に数年続くとしたら、同期の人間が他の期に比べて極端に少ない状態が持ち上がっていくことになり、将来の人事や業務にまで影響が出かねない。各省が猛反発している理由はここにある。たしかに公務員定数を削減する方法として、なかなか「生首」は切りにくい。だからどうしても新規採用を絞るという安易なところに逃げ込んでしまう。労働組合に支えられる民主党だから、なおさらだ。しかしこれでは、国民に対する背信行為といっても言い過ぎではないだろう。
もうひとつはさらに深刻で、国家公務員の新規採用削減がそこにとどまらず、官民を問わず多くの組織で、新規採用を渋る方向に影響を与えるのではないかということだ。ただでさえ民間企業の雇用状況が厳しい中、これは新卒者にとって本当に厳しい仕打ちではないか。若者に希望を与えることが政治の重要な役割となっている昨今、民主党は真逆の政策を実行しようとしている。マスコミも我々ももっと騒がなければならないのではないか。
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