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2006-10-28 10:27
潘基文韓国外交通商相の国連事務総長就任を祝す
吉田康彦
大阪経済法科大学客員教授
韓国の潘基文外交通商相の次期国連事務総長就任が正式に決まった。アジアからはビルマ(現ミャンマー)のウタント氏いらい35年ぶり、しかも東アジアの政治家が国連トップの座に就くのは初めてだ。何よりも、分断国家の一方の当事国で、しかも米国と同盟関係にある親米国家から国連事務総長が出るなど、冷戦期には思いもよらなかった新事態だ。韓国民は国連加盟いらいの慶事として喜んでいる。
私は当初、地域別のローテーションの順番から、次がアジアからである以上、日本も候補者を出すべきであると考え、朝日新聞「私の視点」で主張したのをはじめ各界に働きかけたが、「適当な候補者がいない」という理由で、反応はいずれも消極的だった。候補者不在とは思わなかったが、外務省は「事務総長のポストをもらうと安保理常任理事国入りが不可能になる。常任理入りを優先したい」との意向だった。
しかし事務総長と安保理常任理は二者択一ではない。考えても見るがよい。安保理改革が実現する見通しは当分ない。おそらくあと10年は実現しないであろう。事務総長は1期5年で再選されても10年だ。事務総長というポストは、日本人一般が考えるほど権限はないが、「国連の顔」として国際社会にも、自国民にも「目に見える存在」であり続ける。
結局、日本政府は自国の候補者も出さず、潘基文候補支持も表明せず、存在感を発揮できないまま潘基文氏当選が内定した。麻生外相が潘基文候補支持を明言したのは、同氏が独走態勢に入り、すでに当選確実となった9月末だった。それまで日本は日和見を決め込み、旗色を鮮明にしなかった。韓国政府としては、「何を、いまごろ」という心境だったようだ。
もし日本がいち早く韓国支持を表明していれば、日韓関係改善の外交カードとして効果を発揮していたであろう。少なくとも韓国民の親日感情を大いに好転させていた筈だ。「(旧宗主国の)日本がいち早く支持してくれた」という事実は韓国民に末永く記憶され、好意的に受け止められたであろう。日本の国連外交は拙劣至極だ。
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