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2012-10-12 10:15
いよいよ始まる人口減少社会
船田 元
元経済企画庁長官
先日政府は日本の総人口が、昨年に比べて26万人、率にして0.2%減少したと発表した。出生人口と死亡人口の差、すなわち自然減は約20万人に対して、海外に流出した人口と海外から流入したそれとの差、すなわち社会減は約6万人だったという。
社会減の多くは、海外に企業や工場が移転し、それに伴って従業員が転出したことによる。これはこれで産業の空洞化を招く重要な現象だ。しかしもう一方の自然減は、昨今の出生率の低迷からして、今後相当な期間にわたり継続する重大な現象である。人口が減るということは、国民の生産性が向上しない限り、GDPは減り続ける。モノも売れなくなり、経済の停滞と生活水準の低下を確実にもたらす。日本社会の活力も損なわれることになる。
このような現象を防ぐためだからと言って、国民に対して「産めよ、殖やせよ」と言っても、それはもう通用しない。国民一人ひとりの生産性を高めるか、海外からの働き手を向かえ入れるかしかない。 ところが、海外からの労働力流入は、大きな社会的摩擦を招きかねない。すでに我が国でも外国人労働者が社会問題となっており、その先進地域であったヨーロッパ各国も、この問題に悩まされ続けている。
日本がとるべき道は、やや回りくどいかも知れないが、生産性を向上させるための働き方の工夫や、技術革新、イノベーションをコンスタントに起こして行くことしかないだろう。かつて研究投資に対して「一番じゃなきゃだめなんですか」と、馬鹿なことをある閣僚が言ったが、我々はその「一番」を常に求めて、研究開発に血道を上げなければならなくなっている。
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