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2013-12-19 06:16
猪瀬辞任は「東電病院」問題が決め手
杉浦 正章
政治評論家
朝日の12月18日付朝刊のスクープが都知事・猪瀬直樹の居座りを真っ向から切り崩した。もはや逃れることは出来まい。今日(19日)猪瀬は辞任を表明せざるを得ないだろう。沈黙を守ってきた政府・与党首脳からも辞任論が出てきた。くしくも18日で就任一年となる時点での辞任となった。徳田虎雄が猪瀬との会談で東電病院の取得意向を伝達していたことは、事態が贈収賄事件に発展する可能性すら出てきた。猪瀬が辞任すれば、都知事選挙は来年2月となる公算が高く、各党は候補人選を急ぐことになる。 朝日の報道は「猪瀬氏が昨年11月に徳田氏に面会した際、徳田氏が売却が決まっていた東京電力病院(新宿区)の取得を目指す考えを伝えられていたことが、関係者の話でわかった」というものだ。既に都議会では東電売却問題との絡みがあるという観点から追及がなされてきたが、今月6日に猪瀬は「東電病院の売却は話題になっていない」「頼まれたことも一切無いし、そのつもりもない」と全面否定。徳田が病院購入に興味を持っていたことについて「全く知らない」と答えていた。
しかし、朝日によると猪瀬は、徳田との会談で自らが東電の株主総会で売却を迫った経緯を説明したという。明らかに都議会における虚偽答弁の色彩を濃くしている。偽証罪の罰則を伴う百条委員会が設置されれば、言い逃れは利かない類いのものであろう。これによって、事態は単なる公選法違反の段階からにわかに贈収賄の可能性まで出てきた。地検特捜部は徳田への強制捜査で、会談内容を入手しているものとみられ、詳細な詰めがなされている段階であろう。政府・与党は当然法務省を通じて情報を入手しており、首相・安倍晋三や自民党副総裁・高村正彦が早期辞任を促したのも、もはや動かぬ証拠があるからであろう。安倍は前都知事・石原慎太郎と18日会談、おそらく辞任問題で突っ込んだ話をしたに違いない。石原は猪瀬とも会談して「もう晩節を汚すな」と辞任を促したようだ。事態を分かりやすくするため経緯を説明すれば、副知事時代の昨年6月に猪瀬は東電の株主総会に出席して、東電病院の売却を極めて強く主張している。これを受けて東電は、10月1日に競争入札での売却を発表した。徳田と猪瀬の会談はそれを受けたような形で11月6日に実現、同月20日に5000万円が引き渡された。その後徳洲会は今年8月に東電病院の入札に参加した。ところが地検の強制捜査が9月17日に行われたことから、徳洲会は入札を辞退。同月26日に猪瀬は5000万円を返却している。
一連の流れが強く示唆しているのは、無利子無担保無期限で都と利害関係のある医療法人から5000万円の資金提供を受けた謎が、東京都と徳洲会の“癒着”に根ざしている可能性があることである。石原と徳田とは昔からの盟友関係にあり、いわばツーカーの仲である。当然猪瀬は上司である石原と東電株主総会で病院売却の主張をする事を打ち合わせているに違いない。したがって、猪瀬の主張に徳田の意向が反映されていないとは言えまい。朝日の報道のように、猪瀬・徳田会談で猪瀬がこの経緯を報告して、徳田が入札参加を明らかにしたことは十分にありうることだ。その上での5000万円である。当時は副知事であったにせよ、猪瀬・徳田会談の時点では、猪瀬の当選が確実視されており、徳田にとって見れば、知事になったことを前提にして5000万を“投資”することは、まったく冒険とは考えなかった可能性がある。
結局今年9月の強制捜査のあと徳洲会は入札を断念しているが、その点について専門家筋は「これだけ材料がそろうと贈収賄事件での立件は可能である。事前収賄の考え方もなり立つ」と述べている。いずれにしても、まだ解明は先のことになるが、新たに登場した東電病院売却疑惑は、猪瀬辞任への決定打となっった。これまで沈黙を守ってきた政府・与党は、18日安倍が「せっかく東京五輪招致が決まったのに、国と都の話し合いができないのは世界に対してみっともない。どういう結末にしろ、早く方向を決めてほしい」と述べ、早期辞任を促した。高村も「職務権限と関係する人から5千万円の大金を受け取った外形的事実だけで、出処進退を決断するのに十分だ」と辞任すべきとの考えを表明した。こうした事態となって永田町はにわかに「ポスト猪瀬」に向かって動き出す流れとなった。猪瀬は辞任を表明し、議長に辞表を提出する。都知事選挙は都議会議長が都選挙管理委員会に所定の手続きを取ってから50日以内に行われる。現在のところ1月16日告示、2月2日投票か、1月23日告示、2月9日投票になる可能性が高い。
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