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2014-09-26 11:49
モスクワで戦争反対の大規模デモ
飯島 一孝
ジャーナリスト
プーチン政権の対ウクライナ政策に抗議する反政府デモが9月21日、モスクワで行われ、市民約2万人が参加した(警察当局は約5千人と発表)。政権側はデモ参加者を極力減らそうと早くから主催者側に圧力をかけた。当日も警察官を大量動員して空と陸からデモ隊を抑え込もうとしたが、昨年秋にウクライナ紛争が起きて以降、最大規模の反政府デモとなり、反戦機運が盛り上がっていることを裏付けた。このデモ行進は、民主派野党の「ヤブロコ」や「連帯」が「ロシア政府の対ウクライナ政策に抗議する平和行進」と銘打ち、モスクワ市民に呼びかけて実施された。中立系の「独立新聞」によると、プーチン政権は主催者側に対し、事前にスローガンなどを告知しないよう何度も警告したほか、空からヘリでデモ隊を監視するなど、異例の厳戒態勢を敷いた。
デモ行進は、モスクワ市内のプーシキン通りからサハロフ通りまでのコースで行われた。参加者はウクライナ東部の戦闘で亡くなった人々の写真を貼ったプラカードやロシア国旗、ウクライナ国旗を掲げ、「戦争反対」とシュプレヒコール。中には「プーチンは出て行け」と叫ぶ人も。参加者の中には、女流人気作家のウーリツカヤさん、ロックシンガーのマカレビッチさんらの姿もあった。
デモ行進の参加者数は主催者側と警察当局とで大きく食い違い、主催者は当初予定の約5万人に迫っていると表明したが、当局はその10分の1の約5千人と発表した。「モスコー・タイムズ」紙は中立系団体の「2万6千人以上」という数字を掲載している。いずれにしろ、反政府デモとしては2012年の反プーチン運動以来の盛り上がりを見せたと言えそうだ。また、同紙によると、モスクワの他、サンクトペテルブルク、サラトフなどでも反戦デモが行われたが、シベリアのノボシビリスク市ではデモが許可されず、参加者は警察により解散させられたという。なお、各地のデモでケガ人などが出たという報告はない模様だ。
ウクライナ紛争でロシア、ウクライナ、欧米とも停戦で合意しているが、東部での戦闘はまだ終結に至っていない。東部での親ロシア系住民の自治権付与などを巡って今後も戦闘が続く可能性が高いだけに、プーチン大統領は指導力を発揮して完全停戦に向けて全力を挙げて欲しい。それこそ、大統領の支持率をアップする最善策ではないだろうか。
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