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2015-02-22 16:37
NHK会長対民主党の品位なきバトル
中村 仁
元全国紙記者
籾井NHK会長が民主党の委員会に呼ばれ、議員との間で激しいバトルになりました。民主党議員の暴言を交えた追及をテレビで拝見して、始めは「おっ、ひるむことはなく、堂々と応戦するね」と思っていました。このシーンがなんども民放で放映され、ネットでも映像を確認するにつれ、「これはひどい。民主党議員もNHK会長もひどい」と、腹が立ってきました。まず非礼なのは民主党議員でしょう。階猛(しな・たけし)衆院議員で、顔つきも険しく、名前も猛々しいので、人物を調べてみました。東大法学部卒、銀行勤務を経て弁護士、2007年に初当選ですから立派なエリート議員ですね。部会に外部の人であるNHK会長を招きながら、高飛車な質問を投げ続けました。会場ではしばしば怒号が飛び交い、質疑というより、まるで口論ですね。
昨年、問題になった会長発言をとりあげ、「撤回してください」と議員が迫ると、会長は憮然として、ぴしゃり「撤回しません」。会長が「わたしが場外(国会外の意味)で何をいったとか・・」と、くだけた説明をすると、「国会は場外なのか」と民主党議員は叫ぶ。場外馬券売り場を連想して、議員のプライドを傷つけられたのでしょう。会長は「ちょっと待って、言葉尻をとらえないでください」、「もう少し冷静になって・・」と、顔を引きつらせながら、たしなめる始末です。昨年、NHKの理事全員に人事異動に備えて辞表を提出させていた経緯も蒸し返され、会長が「一般社会ではよくある。あるものはある」と説明すると、議員はかっとなって食い下がりました。常識からいうと、「よくある」は「すべての企業」ではなく、「そうした事例はよくある」の意味でしょう。国会の選良が追及するような次元の問題ではありません。閉会後も2人はまだ感情が高ぶっているのは、「・・は失礼だ」、「あなたこそ失礼じゃないか」と大声で応酬しました。ニュース映像としては、めったにみられない迫力がありました。
予算にからめて、公共放送のありかたを審議するという本来の目的をどこまで果たしたのでしょうか。そういうことのために、税金から議員に歳費を払っているのです。自民一強政権に対抗するために、これしか手がないのか、相手を挑発する戦法を野党は多用しています。挑発には悠然と相手を見下し、その手には乗らないぞと、思わせることです。映像がすぐに流れる国会では、挑発に乗ったほうが負けです。衆院予算委でも、安倍首相と前原氏が激しく言い合い、前原氏は「まったく反省しないのですね、あなた」と首相を挑発しました。自信の絶頂期にある首相は「はい、あなた」といわれ、顔をしかめ、眉間にしわを寄せ、これ以上、不快な表情は作れないだろうというシーンでした。NHK会長の話に戻りましょう。挑発を議員の仕事だと錯覚している連中のわなに、やすやすとはまってはいけません。このひとは、率直というか、感情むき出しというか、顔にすぐ心の状態が投影される危ないタイプです。挑発の絶好の獲物になりやすい人物です。
1年前に会長に就任した時の記者会見で、慰安婦問題については「戦争しているどこの国にもあった」と迷言を吐きました。特定秘密保護法に関する報道姿勢では「まあ一応、通っちゃったのでしょうがない」とか、いいました。機微に触れる問題に対する基本的な見識も欠けていれば、会長の立場で述べていいこといけないことの区別が分っていない人物であること印象づけました。以前のブログで、品性と見識が求められるNHK会長には不適格と申し上げました。その後も学習効果はあまりないようですね。品位ある報道を心がけるべき組織のトップが、本音丸出し、感情をコントロールできない状態の品位に欠けたシーンを放映され、自分がニュースの焦点になってしまったのは大きな失態です。国会や記者会見の質疑では、平然と相手をのんでかかる器量が必要ですね。
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