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2015-08-23 02:01
中国天津の爆発事故、想像以上の影響
赤峰 和彦
自営業
今月12日深夜に起きた天津の港の近くの大規模な爆発事故は、中国当局の発表をはるかに超えた大惨事となっています。当局は現場に記者を派遣してはならないと通知したり、ネット上で状況を発信することを禁止するなど、被害者の救済よりも言論の封殺を優先させています。
爆発の第一原因は機械的な障害からではなく、人為的なミスによるものと見られます。消防や軍に化学消火技術が無いに等しいため、消火活動に手間取ったのではないかと思われます。現場の倉庫やコンテナ集積場には、硝酸カリウムや、水酸化ナトリウムなど、多種類の化学物質が保管されています。また、現場には猛毒の青酸ナトリウムが700トン以上保管されていたため、爆発後に大量の有毒ガスが発生し、すでに付近の下水道から有毒成分が検出されています。この事故で中国政府の治安の未熟さと環境汚染に対する無策ぶりをあらためて露呈することになりました。
爆発事故は沿岸部の工業地帯で起きましたが、事故のため天津港は機能不全に陥り、天津との距離が160kmの北京への経済的影響も懸念されています。中国政府は人民元を3日連続で引き下げ、元安によって輸出を促進する意図がありましたが、この事故で思惑通りにいかず、今後の中国経済にも大きな影響が出ると思われます。
爆発事故は単に事故処理の問題だけにとどまらないようです。報道規制に見られる人権問題、輸出入の最大拠点マヒによる経済危機のさらなる深刻化、大事故に対応できない国内治安の未熟さ、環境汚染対策の無策さなどの中国が抱える様々な負の部分が、この事故により露呈したと言えます。習氏の政敵は一連の問題を失敗と見なそうとしているはずです。習氏の起死回生の方策は、中国当局がこの事故をきっかけに事実をありのまま公表し、国民を大切にし、国内インフラの整備に力を注ぐことを優先して、国内外の信頼を取り戻すことだと思います。決して覇権政策の推進ではないはずです。
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