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2015-09-09 19:29
求められる改憲のための戦略
伊藤 憲一
日本国際フォーラム理事長
日本国憲法が施行されてほぼ七十年が経過し、解釈の変更のみによって世界と日本の激変に対応することは、もはや限度に達したと思われます。そのような中で、来年の参議院選挙の結果次第では、国会の各院の総議員の三分の二以上が改憲に賛成する可能性が出てきております。この歴史的なチャンスをわれわれは無為に見送るべきではありません。
それにしても、改憲を実現するためには、改憲のための戦略が必要です。ただ漠然と改憲を口にするだけでは、目的を達成できません。国民投票に付する最初の改憲提案の内容が重要です。私は、一括全面改正は改憲論者の自殺行為であると考えます。まだ、まだ、国民の中における改憲への惰性的な抵抗感には大きなものがあるからです。私が提案したいのは、つぎに述べる三点セットの改憲提案です。
第一に憲法第89条の削除、第二に第9条第2項の削除そして第三に第96条の改正の三点セットです。第89条は公金の支出先を制限した条項で、いっさいの私学助成を禁止しております。従って今日行われているすべての私学助成は違憲なのですが、これを問題視する日本人は一人もおりません。それをよいことに、違憲と知りながらその違憲が放置されています。きわめて不誠実な日本政治の現実がここにあります。他方、改憲論者の立場に立てば、ここに攻めるべき戦略的目標があります。第89条の削除を改憲スケジュールの最初に持ってくるのです。この提案に反対する日本国民は一人もいないはずです。
このようにして、国民の間にある改憲アレルギーともいうべき長年の惰性を洗い落として、そのあとに、本命の第9条第2項の削除を提案するのです。第96条の改正については、国会の各院の総議員の三分の二が賛成しなければ、たとえ国民の過半数がそれを望んでも、提案自体をすることができないという論理は、それ自体が主権在民の原理に反するものです。その理由によって、これは最初に国民に提案しなければならない改憲事項であると考えます。国民の側に立てば、この提案を拒否する理由はなにもないはずです。(註:本稿は、伊藤憲一個人の見解であって、日本国際フォーラムの見解を代表するものではない)
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