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2007-03-07 09:37
管見・日米同盟
鍋嶋敬三
評論家
安倍晋三首相がチェイニー米副大統領との会談(2月21日)で「かけがえのない、アジアと世界のための日米同盟」と断言、「揺るぎない」関係を強調した。就任以来、ワシントンを訪問していない首相は昨年11月、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の場を借りてブッシュ米大統領と会談、安全保障と経済の両面で同盟関係を強化することで合意している。
日米両国は1996年の安保共同宣言で軍事的な協力を強化してきた。しかし、9・11テロ、アフガニスタン、イラク戦争、昨秋の北朝鮮によるミサイル発射、核実験と北東アジアから中東にかけての安全保障環境は激変した。中国の経済的、軍事的台頭にどのように対応するかも同盟関係の主要課題になってきた。共同宣言から10年余が過ぎ、イラクの泥沼に足を取られている米国にとって、アジア・太平洋地域の戦略を再構築する上で同盟国の日本とオーストラリアとの関係強化が不可欠である。チェイニー副大統領が両国を慌ただしく歴訪したのもこのためだ。
米国の超党派のアジア研究グループが2月に公表した日米同盟に関する報告書(第2次アーミテージ報告)が転機に立つ米国のアジア戦略と同盟関係について分析と政策提言をした。アジアを米国の国益を伸長する「安定した国際秩序のカギ」と位置付けた。中国が台頭するこの地域で米国が十分な関与を示さなければ、米国の影響力が次第に失われるという危機感に基づいている。
日本を含めた地域の大国間の協調関係の維持が米外交政策の原則とした上で、「東アジアの安定は米、日、中の三角関係にかかる」としている。靖国問題での日中対立を米国が強く懸念したのは、この三角関係が機能しなくなるからであったろう。米国のアジア戦略の中で「日米関係は核心」とされる。インド洋、イラクへの自衛隊の展開について報告は「東アジアという地理的範囲を遙かに超えて貢献する日本のイニシアティブを証明した」と評価した。憲法改正論議への期待、自衛隊の海外派遣のための恒久法制定など、従来の要求も忘れてはいない。経済問題では包括的な日米自由貿易協定(FTA)交渉の開始を強く求めている。「東アジア共同体」構想の中で閉め出されるのを警戒する米国は、アジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)の推進を大統領自ら推進している。日本も10年先のアジアにどう対応すべきか、長期的な展望に立って独自の立場から同盟戦略を構築する時が迫っている。
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