開発経済学の歴史的研究がアメリカ大陸とヨーロッパに焦点をおいて進行している。注目される人物に、E・シューマッハ(ドイツ出身)がいる。彼は1960年代半ばに、「中間技術の理論」(theory of intermediate technology)を提唱し、1966年にロンドンにその普及のためのオフィスとして中間技術開発グループ(ITDG)を設立した。「中間技術」の考え方は、1964年に開催されたケンブリッジ大学での国際会議「発展における工業化の役割」で発表され、1965年公刊の会議録(ロナルド・ロビンソン編集)に収録されている。彼の『スモール・イズ・ビューティフル』(1973年)では「中間技術の理論」をめぐって論争があったことが読み取れる。言葉にすると、高価な最新技術でもなく、途上国の土着の廉価技術でもなく、その中間の技術を途上国に採用することを提案しているように響き、彼のビルマ(現ミャンマー)赴任の経験(農業部門の観察)をもとにしているとある。