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2017-05-30 10:13
教育の無償化について
船田 元
衆議院議員(自由民主党)
憲法第26条の教育を受ける権利では「全て国民は、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける」権利があると規定している。自民党においても「国は、教育が国の未来を切り拓く上で欠くことのできないものであることに鑑み、教育環境の整備に務めなければならない」とする考え方を、従来から有してきたところだ。
しかしながら、昨今の所得格差の拡大などの経済的制約によって、残念ながらこの権利が十分には保障されないケースが増えて来ている。「能力に応じて」や「ひとしく」と並行して、「経済的理由を問わず」というような文言を憲法の規定に盛り込むことは、十分に検討に値すると思う。また第26条2項は「義務教育は無償とする」と規定しており、それを実現する手段としての授業料無償に加え、同項の精神をより広く実現するものとして、教科書無償化が従来から行われてきた。しかし、その他の教材費や給食費、修学旅行費などは自己負担であること、さらには学習塾への支払いなどを加味すると、各家庭の教育費は、義務教育段階でも大きな負担であると言る。「義務教育の無償」という憲法の規定を名実ともに実現するには、更なる財源措置が求められることは、言うまでもない。
さらに教育の無償化を進める際、どの教育段階を優先すべきか、その財源を何処に求めるべきかについては、自民党内でも活発な議論が続いている。教育段階では、有力な少子化対策の一つとして幼児教育を優先すべきという主張と、給付型奨学金の創設とその拡大により、高等教育の無償化を優先すべきという主張の2つの流れがある。
また財源問題では、教育の無償化を目的とした新たな国債の発行や、公的年金などの社会保険料に上乗せして保険料を集め、子育て世帯への給付に充てること、あるいは既存税制に上乗せすることなどだ。今後はこれらの意見を集約して、自民党として一定の方向性を示すことが求められる。なお教育の無償化の実現のためには、憲法改正は必要なく、法律で済むことだとの指摘もあるが、むしろ無償化を明記することが、その後の政府に実現を促す大きな力になると期待する声もある。
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