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2007-04-27 21:03
金正日が核を手放すか手放さないかの議論は無意味
吉田康彦
大阪経済法科大学客員教授
金正日総書記は最後まで核を手放さないという見方が圧倒的に多い。北朝鮮に対する不信感の表れとして、いかにも説得力があるが、全く無意味な議論だ。既存の「核弾頭」なら一発や二発、隠匿するかもしれないが、朝鮮半島全域から緊張がなくなれば「宝の持ちぐされ」になる。保持していても意味がないのだ。
プルトニウム生産施設は廃棄するとして、ウラン濃縮施設は隠匿し続けるという見方も根強いが、どの程度の規模の遠心分離器が存在するかもわかっていないのだから、隠すも隠さないもない。申告しなければ永遠にわからない。金正日個人にせよ、北朝鮮という体制にせよ、核開発への誘惑を断ち切ることが先決であり、米国が核で威嚇し続けるかぎり、誘惑を断ち切ることはできないであろう。核保有の誘惑は韓国にも存在している。この際、米国は南北を丸呑みして同盟国にするくらいの度量がないと、東アジアにおける核拡散の可能性は残る。
最後に、21世紀は核拡散の時代である。核物質が存在し、技術が習得されれば、核兵器は生産できる。核実験は国際政治上の「保有のあかし」ではあるが不可欠ではない。廃棄してもそれで終わりにはならない。北朝鮮の場合、廃棄しなれば朝鮮半島非核化とはならず、悲願の米朝国交正常化も、米朝平和条約締結も実現しない。「ひとまず廃棄に応じよう。米国に裏切られたら、また造ればいいさ」と金総書記は長期戦の構えのようだ。
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