86年に衆参同日選で大勝したとき中曽根康弘は、「自民党は左にウイングを伸ばした」と発言したが、安倍自民党による5回にわたる国政選挙の大勝は自民党が農村型政党から完全に脱皮し、都市型政党としてのポジションを確立したことを意味する。都市化の波は農村部対都市労働者対峙の構図を崩壊させ、自民党の左ウイングを固定させた。歴代まれに見る長期政権が視野に入り、戦前戦後を通じて7年8カ月で2位の佐藤栄作はもちろんのこと、7年11カ月で1位の桂太郎をも抜いて歴代1位の政権まで見通せるようになった。来年9月の自民党総裁選で3選されるということは、これまでの5年間に4年をプラスすることになるからである。今後政治的には首相・安倍晋三は、日本全体を俯瞰しつつsense of proportion(平衡の感覚)を堅持した政権運営が求められる。敵対する論陣を張って選挙を自民党不利に導こうと散々苦闘した朝日は、顔面蒼白紙面であった。一面で「安倍一強の変化を求める変化の兆しが見えた」と書いたが、事前に行った各種の世論調査をよりどころにしても科学的でない。最大でもっとも正確な世論調査は総選挙であるからだ。安倍政権の普段の努力が何よりの支持獲得に結びついたのである。加えて、希望の党代表の小池百合子と民進党代表の前原誠司の“政略至上主義”は、有権者が見事に見破った結果となった。小池は厚化粧の化けの皮をはがされたのだ。立憲の躍進も、あまりの与党の強さに判官びいきがあったからに過ぎない。将来的には社会党系野党は消滅の流れをたどる。