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2017-12-22 10:24
生活者のささやかな幸福実現に政治の原点あり
肥後 小太郎
団体役員
師走である。この時期、私のような年金生活者にも源泉徴収票が届く。開封すると、約200万円程度の年金所得に対し5万円超の所得課税とある。都会に暮らすと、どうしても、ひと月16万円前後が必要となってしまう。家賃が大きいが、それ以外に、電気、ガス、水道、電話、NHK受信料、国保、介護保険など最低限支払うべき費目だけでも少なくない。これにさらに持病などが加わると医療費がかさみ、状況はさらに厳しくなる。
報道などで、過酷な生活環境にある老人が、社会から無用扱いされ、ただ死を待つ悲劇的な人生の末路の模様が映し出されることも珍しくない。そういえば、かつて義務教育の社会科の授業で、戦後日本人の生活の豊かさを図る指標としてエンゲル係数というものを教わったことがある。しかし現在、満足いくエンゲル係数で暮らしている日本人がどれほどいるというのか。エンゲル係数など、もはや死語ではないか。
また、企業の現場では、終身雇用制度が崩壊し、もっぱら経営側の視点から実力主義の雇用制度が導入されるようになった。その結果、格差や失業率の高まりなど、さまざまな社会不安が生じつつある。このような社会問題に取り組むことも政治家の大事な責務である。政治家とて生身の人間であり、彼らの人生観・世界観が、その政策にある程度反映されるわけだが、その政策によって実際に幸不幸を左右されるのは、われわれ国民である。
かつて「21世紀は夢の時代」という期待にあふれた時代も存在した。しかし、いざ21世紀を迎えたら、そのような理想とは真逆の世界が展開した。テロとの戦いや核拡散など、国際政治の次元でも問題は山積しているが、他方、現役を退き、年金暮らしとなった今、日々の暮らしの中でささやかな幸福をどう実現するか、という生活者目線のささやかな問題の解決にこそ政治の原点があるのではないか、と改めて考えさせられる年の瀬である。
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