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2018-06-26 11:24
米朝首脳会談とその後
船田 元
衆議院議員(自由民主党)
去る6月12日シンガポールのセントーサ島にて、世界の人々が固唾を飲む中、初の米朝首脳会談が開かれた。2週間経った今でもその余韻が残るほど、歴史的な出来事だった。その評価は甲論乙駁、様々な意見が出されているが、正確な評価はまだ早いし、今後のフォローアップの仕方により、変わりうるものだろう。
会談後に出された合意文書やトランプ大統領の単独会見を見ると、「朝鮮半島の完全な非核化」に合意したというが、我々が望んでいる「検証可能で、不可逆的な」非核化には言及していない。また中・短距離ミサイルや大陸間弾道弾(ICBM)、さらには日本にとって極めて重要な拉致問題に関する表現もない。会談そのものでは触れられた可能性はあるが、公表された文書になかったことは誠に残念である。
しかしこの度の外交「イベント」は、65年間全く動かなかった朝鮮半島情勢や米朝関係が、明確に動き出したという点で、歴史に刻まれるだけの価値はあるだろう。拉致問題の解決も含めて、今後の関係国の努力により、本当の価値が決まるものと思う。否、その価値を高めなければならない。そうした中、私が最も心配しているのは、「朝鮮半島の非核化」が在韓米軍の規模縮小や撤退に繋がりはしないかという点だ。定期的に実施されてきた、各種の米韓合同軍事演習が当面中止することが、既に決まってしまった。在韓米軍のプレゼンスは、朝鮮戦争の置き土産でもなく、対北朝鮮への軍事的圧力だけではなく、中国さらにはロシアとの軍事バランスをしっかりと保つことにもなっているのだ。
仮に在韓米軍の縮小が始まると、日本は軍事強国の中国と直接向かい合うこととなり、在日米軍や自衛隊の編成見直しに手をつけなければならなくなる。今後日本政府はこの観点を重視して、アメリカとの綿密な協議や交渉を、精力的に、迅速に行うべきである。
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