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2018-07-13 10:43
はやぶさ2への期待
船田 元
衆議院議員(自由民主党)
去る6月29日には観測史上はじめてという、6月中の梅雨明けが宣言された。雲一つない夜空に、満月がまるで作り物のようにぽっかり浮かんでいた。地球からの距離が約37万キロメートルにある月の、さらに1000倍近く離れた小惑星リュウグウに、探査機はやぶさ2が、3年半かけてようやく到達したとのニュースも飛び込んで来た。
はやぶさ1号機は同様に小惑星イトカワに、10年以上前に到達したが、機材のトラブルに次々と遭遇し、一時は諦めかけようとしたが、スタッフたちの不屈の対応により、奇跡的に地球に帰還させることができた。その時の感動的な経過がのちに映画化されて、人々の記憶に焼き付けられた。1号機はサンプルが満足には採取出来なかったが、今回は幸い故障もなく、地球誕生と同じくらいの45億年前の岩石サンプルを、リュウグウから持ち帰ってくれるのではと、大きな期待が寄せられている。風化してない45億年前の岩石を調べることによって、地球の生命の起源を探ることが出来ると言われる。
昨今は科学技術振興予算にも、費用対効果の厳しい目が向けられている。民主党政権時代の事業仕分けでは、スパコン開発を巡り「2位じゃダメなんですか?」と言われたり、JAXAの大切なPR予算が削られたこともあった。今も基礎研究より応用が大事だという風潮がある。今回の小惑星探査ミッションも「生命の起源を探る」という、純粋科学的な研究の典型である。しかし実は、3億キロも離れた天体に30数億キロをかけて飛行させるスウィング航法や、羽根のない扇風機と理屈が同じイオンエンジンや、太陽風に長時間晒されてもビクともしない新素材など、私たちの暮らしに直結する技術も生み出しているのだ。我が国の科学技術政策の弱点は、しばしば基礎か応用かの二者択一を迫ることである。「基礎なくして応用なし」「応用なくして基礎なし」の構え、大谷翔平ではないが「二刀流」の心持ちが、とても大切なのではなかろうか。
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