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2018-07-20 17:45
我が国の災害報道はどうあるべきか
赤峰 和彦
自営業
大規模な自然災害や大事件が発生した場合、メディアはここぞとばかり取材陣を派遣し被害状況を報道しますが、その内容には首を傾げるものが多くあります。報道従事者の内面に、災害や事件で悲しむ人たちの姿が絵になる、という感情があるのではないでしょうか。メディアの最たる問題として、不満を抱える被災者を見つけ出し、「こんなひどい目にあったのは行政が悪いからだ」「国の対応が遅すぎて不便この上ない」等の非難を引き出そうとすることではないでしょうか。しかも、それを被災者全体の意見のように報道することです。しかし、被災者の多くは、不満を抱えているのは当然ですが、そのような泣き言を言うのは恥と考えています。悲しみに耐えながら、救助やお世話して下さる方に深い感謝の念を抱いているのが本当の姿だと思います。
メディアの取材でいつも問題となるのは、自衛隊、警察や消防の方々が不眠不休で被災者救助や復旧に力を注いでいるときに、現場で邪魔ばかりしていることです。救助中のヘリコプターの近くで報道ヘリを飛ばして取材することに何の意味があるのでしょうか。救助のヘリ以外に、報道ヘリ2、3機がホバーリングしているとその騒音はすさまじく、瓦礫の中に閉じ込められて助けを求めている人の声は聞こえません。しかも、ヘリの上から平然とカメラを回し続ける行為が、助けを求めているのに助けてくれないとわかった被災者にどれほど落胆の思いをさせているのか。メディアの奇妙な特権意識が傲慢な取材を生んでいる実例として、避難指示が出されて急いで避難しようとしている人をわざわざ呼び止めて取材を試みていたニュースもありました。その場にいた警察官がこれを制しましたので住民は急いで避難しましたが、危険が差し迫っているときでも取材を優先させるその神経を疑わざるをえません。
東日本大震災のときは、メディア報道よりもSNSを通じてのSOS発信が効力を発しました。メディア、とりわけ民放各社の特性は絵になるところばかりを取材し、悲惨な状況を強調するだけで、被害者救済には何の役にも立っていません。災害報道は、受信料でなりたつNHKが視聴者への還元すべき義務にして、民放各局は被災者救済のために、メディアとしてお役に立てることとは何なのかを考え、実行すべきではないでしょうか。そして、災害から得られた教訓は何か、何を心がけねばならないのかということを中心に報道することがメディアとしての立ち居振る舞い方ではないでしょうか。
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