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2018-08-01 06:23
竹下派が“分裂総裁選”へ
杉浦 正章
政治評論家
自らの将来を思うと暗然とした気分にならざるを得ないのが元幹事長・石破茂だろう。依然として自民党総裁、すなわち首相への道は見えてこないと言わざるを得ないからだ。ジタバタすればするほど、先が見えなくなるのが石破の置かれた立場のように見える。それにもかかわらず参院竹下派が、たった21人とはいえ石破支持に動くのも解せない。どうも暑さで政治家も、意識が朦朧として判断力が鈍っているかのようだ。竹下派は保守本流を行く名門派閥だ。遠く吉田派に端を発し、佐藤→田中→竹下→小渕→橋本→津島→額賀→竹下派と続いてきたが、常に時の政権の基盤となる動きが目立ったものだ。ところがここにきて9月の総裁選で参院側が各派のトップを切って総裁選への態度を決定、石破を押す流れとなった。参院竹下派は31日、幹部8人が会合、石破支持の方向を確認したのだ。「反旗」をかかげたが、一方で、竹下派の衆院議員は、経済再生担当相茂木敏充らをはじめ首相支持派が8割以上に上る見込み。同派は分裂投票となる。派閥会長竹下亘は、板挟み状態となった。判断力が試されている。総裁選の大勢は、事実上細田、麻生、岸田、二階の4派の支持を取り付けている安倍の圧倒的優位は変わらない。
新聞はすぐにこうした動きを「森友・加計を抱える安倍への国民の不信感」に結びつけたがるが、森友・加計は1年半たっても何も政権直撃の疑惑など生ぜず、朝日と野党の結託が生じさせた虚構にすぎない。加えてこの参院竹下派の動きの背景には政局と言えば顔を出す怪僧ラスプーチンの暗躍がある。政界引退後も竹下派に影響を持つ元参院議員会長・青木幹雄だ。今回の青木の“仕掛け”は極めて個人的な原因に根ざしているようだ。鳥取出身の石破が、前回の参院選における「鳥取・島根」合区選挙区で青木の長男、一彦の再選に尽力したことへの“返礼” の意味があるといわれているのだ。
引退後も“参院のドン” は健在ということになる。竹下派の参院議員らも「石破を支持して安倍に圧力をかける」と威勢は良いが、この選択は得るものが少ないことを分かっていない。というのも大きな政局の流れは安倍の3選が確実であり、安倍政権はあと3年継続する。安倍の後は岸田が本命であり、岸田政権は6年は続くだろう。当然安倍の後を石破も目指そうとするだろうが、安倍支持グループの大勢が石破を推すことはまずあり得ない。岸田を推す者が多いだろう。そうなれば、石破派と支持グループは、かれこれ10年冷や飯を食らうことになりかねないのだ。10年の冷や飯ということは、政治家にとっては夢も希望も失せるのであり、致命傷だ。従って石橋支持の選択肢はいずれ潰れるのが落ちだ。青木も「真夏の夜の夢」を見るのは自由だが、議席を失ってまで政局に口を出すのは「年寄りの冷や水」と心得た方がよい。
こうした中で幹事長二階俊博が31日、ソウルで「安倍総理への絶対的支持を表明する。国民が真のリーダーシップを託せるのは安倍総理をおいて他にない」と支持を表明。衆参で総裁選対応が割れる可能性が出てきた竹下派についても、「私らのグループはこっちが安倍さんを支持し、そっちが誰かを支持するとか、そんな器用なことはやらせたことはない。そんなのは派閥とは言えない」と酷評した。確かに総裁の選択という重要局面で衆参の判断が異なるとは、派閥の体をなしていない。名門竹下派も凋落したものだ。こうした中で派閥間の動きも活発化しはじめており、31日夜には岸田、石破、前経済再生相・石原伸晃、元防衛相・中谷元が会合。石破が岸田に「私が立候補の際はよろしく」と支援を要請するなど、水銀柱の上昇と比例するかのように生臭さが一段と強まってきた。
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