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2018-10-22 10:14
マイクロ・プラスチックの害
船田 元
衆議院議員(自由民主党)
私たちの生活に深く入り込んでいるプラスチック、これがなければ今の私たちの暮らしを維持することが困難なほどだ。「プラスチック」とは主に石油を原料とする合成樹脂のことで、安価で加工しやすく、耐水性に優れ、腐らないという特性を持つ。ところがいま腐らないことが、今世界中で問題を起こしつつある。特に厄介なのは「マイクロ・プラスチック」と呼ばれる破片である。廃棄されたプラスチックが、川の流れや海の波、さらには紫外線などの影響で細かく砕かれ、海洋の広い範囲に拡散されているという。これらが海洋生物の体内に吸収・蓄積され、やがては生態系を乱したり、それを人間が食することで、人体にも影響を及ぼしかねない。
具体的にプラスチックといえば、すぐ思いつくのはストローである。先日はストローがウミガメの鼻に嵌ってしまい、瀕死の状況になったいう報道もあった。ほとんどが使い捨てされているため、製紙会社では代用品としての紙のストローを開発した。あるファストフード店は、数年後には全て紙製にすると宣言したが、プラスチックのそれに比べて5、6倍のコストがかかるため、導入を検討する企業がなかなか現れない。またレジ袋も身近な存在だが、既にヨーロッパでは廃止したり有料化して、使用量を減らすことに寄与している。わが国ではかつて、杉並区の山田宏元区長がレジ袋税に関する条例を制定したが、残念ながら追随する自治体はなかった。しかし今やプラスチック問題が全国的に注目されようとしており、原田義昭環境大臣もこの問題に正面から取り組むことを宣言した。
今年6月のG7、シャルルポワサミットでは、プラスチック問題に対処するため「海洋プラスチック憲章」が議論され署名されたが、日本とアメリカは署名しなかった。日本政府の理由は憲章の有効性が検証できないことと、関連する国内法が未整備であることを挙げているが、諸外国からは批判された。我々は遅ればせながら、環境破壊をもたらしているマイクロ・プラスチックを少しでも削減するために、国内法を早急に整備するとともに、公的にコスト高を補填する制度などを導入して、この憲章に署名すべきである。来年大阪で開催されるG20が、当面の目標になるはずだ。
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