ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2019-01-30 05:55
対韓関係は、触らぬ神にたたりなし
杉浦 正章
政治評論家
日韓関係の急速な冷え込みと、米韓関係の悪化は全てが大統領文在寅の左傾化親北朝鮮路線に起因している。日本国民の嫌韓感情も高まる一方だ。かつて外相・大平正芳は対中関係について「日本は引っ越すわけにはいかない」と述べたものだが、対韓関係も隣が嫌だからといって引っ越してもらえないからやっかいだ。韓国は朴槿恵など反日大統領を排出する国で毎度のことだが、文在寅の日米離反路線は陰湿であり、一層手に負えない。今後のヤマ場は3月1日の反日独立運動記念日「三・一節」となりそうだ。一体文在寅は反日離米路線で何をしようとしているのか。目立つのは北の金正恩への大接近である。2018年4月27日の金正恩との板門店会談以来、文在寅の眼中には対日・対米外交など眼中にないかのようだ。板門店宣言の共同発表で文在寅は「朝鮮半島でこれ以上の戦争は起きない」と宣言し、過去の合意が守られなかったことを念頭に「我々は後戻りしない」と述べた。金正恩も「残念な歴史が繰り返されないようにする」と宣言した。南北が大接近するのは極東の平和にとって有意義である。
しかし勢い余って文在寅は「反日」で支持率を獲得しようとしているかに見える。外交を活用して支持率を上げるのは、小国が陥りやすい極めて危険な選択肢であり、文在寅は臆面もなくこれを実施している。昨年12月の世論調査会社「リアル・メーター」の調査では、文の支持率は48・4%で前週よりも3・6ポイント低く、9週連続で下落。大統領就任以来、最低となった。「不支持」も就任後、最高の46・6%で、支持と不支持の割合が肉薄してきた。他国への批判で支持率を上げようとするのは一国の指導者としては邪道であるが、文在寅にはそれしか手段がないかのように見える。こうした中で昨年12月20日、能登半島沖で自衛隊のP1哨戒機が韓国軍の駆逐艦から火器管制レーダーを照射された。火器管制レーダーは、航空機や艦船がミサイルなどを発射するときに放射する電波だ。これを照射すると言うことはピストルの撃鉄を起こしたことに等しい。北朝鮮の漁船に接近しながらの行動だが、この過剰反応は、極めて不審だ。一体韓国の艦船は北の漁船と何をやっていたのであろうか。韓国艦船はこの現場を見られたくなかったか、何か隠したかったことは確かだ。だからこそ、レーダー照射して哨戒機を追い払ったと言う仮説が、信憑性を増してくる。
韓国の日刊紙ハンギョレは社説で、首相・安倍晋三が施政方針演説で韓国との関係に触れなかったことを問題視して、「最悪の韓日関係を『意図的放置』する無責任な安倍」と題する社説を掲載「韓日の軋轢が最近では日本哨戒機の低空威嚇飛行などの軍事分野にまで拡大している」と指摘「両国の関係を改善するよりも、現在の不和と対立をそのまま放置するという意図」と批判した。社説から見る限り韓国という国は新聞まで、触れれば怒り、触れなければ怒るという、度しがたさで成り立っているらしい。問題はこの対日関係の悪化が基本的には文在寅の「一人芝居」であることだ。もちろん、日本の戦前の行為について韓国内は、与野党、左派・右派、メディアが一致してときの声を上げてしまう国柄であり、日本政府は「また発病か」と無視するしかあるまい。「三・一節」が最大のヤマ場になると思うが、文在寅はあおりこそすれ沈静化には動くまい。
6月28日及び29日には、G20サミット(金融・世界経済に関する首脳会合)が、大阪ではじめて開催されるが、おそらく文在寅も来日せざるを得まい。しかし、文在寅は安倍と会談するにしても、難問山積だ。安倍は施政方針演説で韓国との関係に言及しなかったが、韓国が大法院の徴用工判決、レーダー照射、慰安婦財団の解散問題とこのところ一段と反日に傾斜している現実に照らせば、当分触らぬ神にたたりなしの路線が正解だろう。やがて文在寅が苦しくなってすり寄ってくるのを待つのもよい。
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
一覧へ戻る
総論稿数:5546本
公益財団法人
日本国際フォーラム