この行き過ぎた円安に対しては、既にユーロ諸国の政府がG7で不満を表明し、米国議会でも、5月に円安に対する制裁の是非について、下院の公聴会が開かれたが、この程発表された国際決済銀行(BIS)の『年次報告書』(77th Annual Report ー 1 April 2006 ー 31 March 2007」においても、円安がはっきりと問題視されている。
『報告書』は第8章「結論」のハイライトである「政策は今後どうあるべきか」(Where should policies go from here ?)の中で、円について一つのパラグラフを割き、次のように述べている。「最近進んでいる円相場の下落には、明らかに異常なもの(clearly something anomalous)がある。金融引締め政策は、この事態を直す助けになるかも知れないが(would help to redress this situation)、根本的な問題(the underlying problem)は、今後円高が大きく進むことはないだろうという投資家の強過ぎる確信(too firm conviction)にあるように思われる。釣り合いを取るには(as a counterweight)、1998年の秋にたった2日間で円が対米ドルで10%も上昇し、円キャリ取引を行っていた投資家が多大の損失を被ったことを考えるよう促すのがよいかも知れない(might be better encouraged to consider)」