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2019-06-04 15:08
「野合」に過ぎない野党5党派共闘路線
加藤 成一
元弁護士
5月29日、夏の参議院選の勝敗を左右するとされる32の改選1人区のうち、合計30の選挙区で、立憲民主、国民民主、共産など主要野党5党派による候補者の「一本化」が実現した。それによれば、30の選挙区のうち、立憲7、国民5、共産3、無所属14、佐賀は枠組みが未定、他の宮崎と鹿児島の2選挙区は決着していないとされる(5月30日付け産経新聞朝刊)。「一本化」の目的は、1人区で野党がバラバラで選挙を戦えば、自公に対抗できないためであろうが、大半を占める「無所属14」には疑問がある。なぜなら、仮に上記主要野党5党派の支援により「無所属」で当選した候補者は、当選後も「無所属」を貫き通すのか、または、当選後は「無所属」ではなく上記主要野党5党派のいずれかに属するのかが、投票する有権者には全く不明だからである。その意味では、「無所属」は単に選挙のための「仮面」であり「方便」とも解されよう。
このことは、去る4月21投開票の衆議院大阪12区補選に共産党から「無所属」で立候補し最下位落選した候補者を、今度は同党が「無所属」としてではなく、来る衆議院選の「党公認」候補として発表した事実を想起させるのである。投票する有権者としては、仮に「無所属」で当選した候補者が当選後も「無所属」を貫き通すのか、または、当選後は「無所属」ではなく上記主要野党5党派のいずれに属するのかについて、いわばその「正体」が不明であり、重大な関心があると言えよう。したがって、上記主要野党5党派は、「無所属14」の各候補者について選挙の前に、当選後の所属について有権者に明確に説明する責任がある。
さらに、上記主要野党5党派は、同日、安保関連法廃止等を求める「市民連合」と政策協定をしたが、「市民連合」の実態は必ずしも明らかではない。その主義主張や政治的傾向、代表者や幹部の氏名経歴、組織の有無と実態、財政基盤、政治団体としての届け出の有無、全国における構成員、人数などは不明であり、いわばその「正体」は必ずしも明白とは言えない。上記主要野党5党派は、このような「市民連合」と政策協定をすれば、当然、選挙後においても一定の政治的拘束や影響を受けるであろうから、投票する有権者としては、上記主要野党5党派の背後にあり、一定の政治的拘束や影響を及ぼす「市民連合」の実態についても把握しておく必要があると言えよう。その意味では、上記主要野党5党派及び「市民連合」自体においても、上記の諸点につき、投票する有権者に対する積極的な情報公開が求められよう。
このように、もっぱら選挙のための上記主要野党5党派による候補者「一本化」は、自衛隊、日米安保など、国の存立と国の根幹にかかわる安全保障に関する基本理念や基本政策が上記主要野党間で根本的に異なるうえ、選挙後における共通の確たる「政権構想」もないのであるから、単なる目先の選挙における「安倍政権打倒」のための手段たる「野合」でしかないと評価されよう。
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