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2019-07-18 11:48
閉塞感漂う文在寅政権
荒木 和博
拓殖大学教授・特定失踪者問題調査会代表
7月上旬にソウルに滞在したのですが、日本政府による「制裁」のことが連日大きく報道されていました。「中央日報」によれば、「制裁」直後の国家安全保障会議(NSC)で配布された資料に日本の輸出規制を「国際法上明確に違反した政治的報復性格と規定する」としていたのを10分後に差し替えて「『報復的性格』の輸出規制措置」としたそうです。NSCで議題になり、なおかつ文面の差し替え、措置直後の韓国政府のあたふたした様子が伝わってきました。
韓国では「政府は分かっていたのに何も手を打たなかった」という批判も大きく、それに対して文在寅政権は「日本が悪い」という方向に持って行こうとしているものの、NSCの文書差し替えでも分かるように、「これ以上日本を怒らせるとどうなるか分からない」という恐怖感はあるようで、今後反日姿勢をどこまで打ち出し続けるのか注目しています。こちらの友人は「日本政府の方が明らかに正しい。それに、どうせ一つ制裁をかけても『日本が悪い』と言うんだから、100個でも制裁をかけた方が良い。そうやってもっと経済に影響が出ないと、国民が今の文在寅政権の問題点に気づかない」と言っていました。
先日の板門店での米朝会談では、誰が見ても韓国が外されたことは明らかなのですが、韓国政府は一所懸命「韓国が役割を果たした」、果ては「三者会談」とまで言っていました。別の知人は「(韓国政府の発表に国民が騙されて)支持率が上がったんですよ」とため息をついていました。(11日の中央日報の報道によると、直近の支持率は流石にやや下落しています。)まあ、あれが三者会談なら、トランプ訪日のとき大統領一行と安倍総理が六本木の炉端焼きで一杯やったことについて、炉端焼き屋のご主人が「私も入った三者会談だった」と言うのと大差ありません。
今の韓国は少なくとも現政権で経済が回復する可能性はほとんどなく、政府としては「文在寅政権だから南北関係が安定・発展している」という虚構にしか頼ることはできません。しかし最近では北朝鮮にすら「韓国は余計な口出しをするな」と言われており、韓国語で言えば「イロジドモッタゴ、チョロジドモッタゴ」(こうすることもできず、ああすることもできず)という状態です。さてこれからどうなるのか。何でもありの時代ですから、金正恩体制の前に文在寅政権が倒れるとか、あるいは共倒れなんてこともあるかもしれません。何があってもそれをチャンスにできるか、ピンチにするかはこちらの問題です。
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