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2007-07-30 22:37
参議院選挙の結果
大藏雄之助
評論家
7月29日の参議院選挙は、自民党にとって事前の予測の中で最も厳しい結果となった。健全な民主政治は適宜に政権交代が行われるべきであり、今回唯我独尊の共産・社民といった政党がほぼ消滅して二大政党化が進んだことは、その意味で歓迎したい。
しかし、民主党の勝利は必ずしもその政策が国民の信頼を得たものとは言い切れず、むしろ敵失による大量得点の印象が強い。まず、小泉前首相の郵政民営化推進で「粛清された」保守系政治家の系統が野党側から立候補して当選した。次に、最大の争点となった年金問題は、社会保険庁の長年の労使関係の中から生じたもので、現内閣の責任度合いは小さいにもかかわらず、政府の対応が後手後手で非常にまずかったために多くの無党派層を批判派に駆り立てた。それ以上に影響が大きかったのは、閣僚の相次ぐ失言と不明朗な政治資金使途であった。この二つがなければ、次点に泣いた自民党候補者のほとんどが競り勝って、与野党逆転を阻止できたはずである。
ところで与党は第一院である衆議院で絶対多数を占めており、まだその任期が2年以上あるところから、安倍首相は政権継続を言明している。確かに参議院の選挙は政権交代を迫る性質のものではないが、これほど大敗した以上は民意を尊重して退陣するのが至当ではないだろうか。たとえここで内閣を改造して政権を維持しても、議長のポストを失い、また大部分の常任委員長を民主党にとられていては、多くの法案や外交案件が参議院で否決されて政治が停滞することが容易に予測される。
そもそも小泉退陣で政権を引き継いだとき、安倍首相は、「政権たらい回し」の非を避けるためにも衆議院の解散総選挙に踏み切るべきだった。それをせずに論功行賞仲良し内閣を組織したことから収拾のつかない事態に立ち到った。今からでも遅くはない。機会を見て、できるだけ早く国民に信を問わなければならない。
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