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2020-03-17 14:57
新型コロナウイルスで試される内政・外交両面の力
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
コロナウイルス対策について外交方面から言うと、いよいよ佳境に入ってきた、と感じる。アジア各国では日本人の入国制限措置が広がっている。アメリカが近く新たな入国制限措置をとると言われている。そこに日本が入るのかどうか、あるいは日本全国が入るのかどうか、トランプ大統領の判断は、日本外交にとって大きなインパクトを持ってくるだろう。アジアを越えた広がりを持ち、アメリカでも死者が出始めている現状で、各国が厳しい措置を取り始めてくること自体は自然だ。そこで日本がどう扱われるか、は、オリンピックのみならず、日本経済全体にとって深刻な意味を持ってくる。
現在の日本での感染者数・死者数のデータは、世界的な水準から見て微妙だ。ダイヤモンド・プリンセス号での感染者数をカウントすることへの麻生大臣の愚痴が報道されているが、そんなことをしている暇があったら正規ルートでの情報発信にもっと力を入れるべきだ。WHOテドロス事務局長の発言をめぐる一連の事態は、現実分析と評価が難しい中で国際政治がうごめいていることを示している。だからこそ、日本が不当な情報操作をしているという印象を与えることは避けなければならない。かえって悪影響が出る。
しかし、印象だけが先行して日本人に対する過度な制限が世界に広がったなら、それに対しては手を打たなければならない。もちろん、長期的観点から経済活動の安定のために、日本政府が次々と先手先手の政策的措置をとり民間でも対応措置が活発に実施されているということを国際社会に示したことは重要な意味があったし、今でもまだ重要だ。国会は3月13日に新型インフルエンザ特措法改正案を可決成立させたが、超党派の立法で成立させられれたことは、なお素晴らしいことであった。新たな立法措置はとにかく早く行われるべきだからだ。日本政府が行った学校休校措置は、イタリア政府が追随した。どうせやるなら先にやった政府のほうが賢かった、と世界の人々は自然に思うだろう。
交通機関に対する措置も、ニューヨーク市がやっていることに追随するくらいのことはできないのか。航空機乗船前にも熱を測るなどの各国との人の円滑な往来を確保するための措置はありえないのか。絶対に見たくないのは、閣僚やオリンピック委員会など、影響力のある層の人々の失言だ。何があっても、自国民を守るための措置をとっている各国政府の誠意を疑うような発言は、絶対にしないように、気を付けてほしい。
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