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2020-09-06 11:45
「オハイオ州を制する者が米大統領に」のジンクス
山田 禎介
国際問題ジャーナリスト
米大統領選で共和党、民主党の支持率がきっ抗し、選挙の度に勝利者が変動(スイング)するのが「スイングステート」。全米これらの激戦州でも、民主党バイデン氏はミシガン、ペンシルべニア、ウィスコンシンの各州でリードしているが、いずれも共和党トランプ氏が2016年に、得票率の差わずか1ポイント未満で獲得した州だ。だが、もっと注目すべきは中西部オハイオ州の動向だ。そのオハイオ州は近年、スイングステートの代表として知られ、1964年以降は、「オハイオ州で勝利した者が”必ず”大統領になる」というジンクスが出来上がった。
オハイオ州民は2000年、2004年の大統領選挙ではどちらの年も、小差で共和党のジョージ・W・ブッシュ候補に、2012年には民主党のオバマを支持し、2016年では逆に、共和党のトランプ候補を大きく支持し、大統領への道に結び付けた。その間、2010年米国勢調査で、オハイオ州の大統領選挙人数は20人から18人に減ったが、それでも「オハイオ州で勝利した者が必ず大統領に当選する」、このジンクスは揺るぎないままだ。オハイオ州は工場群の広がる地域で、前回2016年には失業を恐れる、熱狂的なトランプ支持者の票が集まった。では現状はどうか。米世論調査データ収集サイトの、リアルクリアポリティクス(Real Clear Politics、RCP)が、オハイオ州内9メディアの平均調査を行っているが、結果はわずかながらバイデン優位となっている。RCPの対象メディアで、ややトランプ優位と見るのは7月のテレビのCBS調査だけだった。
だが、11月の大統領選投票まで予断を許さない状況が続く。このオハイオ州は、産業分布や人種構成が全米平均に近い「アメリカの縮図」として知られ、歴史的には7人の大統領を産んだ。18代大統領ユリシーズ・グラント、19代ラザフォード・ヘイズ、20代ジェームズ・ガーフィールド、23代ベンジャミン・ハリソン、25代ウィリアム・マッキンリー、27代ウィリアム・タフト、29代ウォーレン・ハーディングがそうだ。またバージニア州生まれの9代大統領ウィリアム・ハリソンも、人生の大半をオハイオ州で過ごし、オハイオ州内に墓がある。しかもその孫はオハイオ生まれ23代ベンジャミン・ハリソンだ。こうした歴史的背景もまた、政治に関心が強いオハイオ州のプライドとなっている。
米大統領選にはさらなるジンクスがある。「大統領選結果は子どもに聞け」というものだ。全米各州コミュニティーでの子ども投票結果は、ほぼ本物の大統領選結果と同じになるという。これは親たちの話を盗み聞きしている子どもの特有のきゅう覚のせいだともいう。さらに「オハイオ」(Ohio)の発音は、どのアメリカ人から聞いても”おはよう”なのだ。この点は妙に日本人が親しみを覚える州名だ。
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