今年11月に実施されるニューヨーク市長選挙の本選挙を前に、民主党の候補者を決める予備選挙(primary)でエリック・アダムス(Eric Adams)というアフリカ系アメリカ人の元警部が当選した。ニューヨーク市内には5つの行政区(Borough、バラ)があり、アダムスはブルックリン行政区の区長を務めている。20年以上、ニューヨーク市警察に勤務し、その後はニューヨーク州上院議員を務め、その後は区長を務めていた。警察出身ということもあり、「警察に予算をつけるな(defund the police)」運動には反対しており、ニューヨーク市第14選挙区(ブロンクス地区を中心とする)から出ている、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員が属する進歩主義派といは一線を画している。
AOCは現職のビル・デブラシオ市長の補佐官を務めたマヤ・ワイリーを応援していたが、3位で敗退ということになった。デブラシオ市長は新型コロナウイルス感染拡大対策での失敗を批判されており、その前からも評判が良くなかった。アマゾンの第2本社をニューヨークに置くという話に対して、優遇税制を適用するという市長の発言も格差に苦しむ低所得者や労働者階級からの反発を買った。ワイリーはデブラシオ市長を批判する立場を取ったが、デブラシオ市長の補佐官だったという経歴が報道されたことで支持が拡大しなかったようだ。2位となったキャサリン・ガルシアはニューヨーク市政府(市庁)で公務員として勤務してきた。デブラシオ市長の下、衛生局長としてごみ収集やごみ問題に対処した。新型コロナウイルス感染拡大時期では、「食料配給の皇帝(Food Czar for New York's COVID-19 emergency response)」と呼ばれ、生活に困窮した市民に食料を提供する部門の責任者を務めた。『ニューヨーク・タイムズ』紙は選挙戦期間中に、ガルシア支持(endorsement)を紙面で公表した。