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2021-10-01 21:18
ワイオミング州連邦下院議員選挙に注目せよ
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
2022年にはアメリカでは中間選挙(Mid-Term Elections)が実施される。連邦下院議員の全議席(435)、と連邦上院議員(100議席)の約3分の1、州知事の一部の選挙が実施される。大統領選挙と大統領選挙の中間に実施される選挙であり、現職大統領に対する「中間テスト」のような意味合いを持つ。任期4年のうちの前半2年の「出来」はどうであったかということで、大統領を出している政党に対する投票で評価が決まる。
ジョージ・W・ブッシュ大統領時代の副大統領、実質的には大統領であったディック・チェイニーの娘リズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)の選挙に注目が集まっている。リズは父親ディック・チェイニーの威光を背景にして、連邦下院議長を目指して連邦下院共和党内部の出世の階段を上っている。詳しくは拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』をお読みいただきたい。
リズは、ドナルド・トランプ前大統領に対する対決姿勢で名前を売った。2021年7月に設置された連邦下院1月6日事件委員会の副委員長(共和党側ではトップ)を務めている。こうしたリズの動きに対して、トランプは反対姿勢を鮮明にし、来年の選挙(連邦下院議員選挙)の共和党予備選挙で現職のリズに挑戦するハリエット・ヘイグマンへの支持を表明した。それに対してリズは「かかって来いよ」と挑発した。
リズの援軍として、父親ディックにお世話になったジョージ・W・ブッシュ元大統領がおっとり刀で駆けつけて、資金集めパーティーを開催することを決めた。ブッシュ元大統領は、トランプを遠回しに批判し、トランプもまた「バカなくせに偉そうなことを言うなよ」と攻撃している。ワイオミング州下院議員選挙は、ブッシュ、トランプの大統領経験者2人の戦いになりつつある。更に言えば、ワシントンのエスタブリッシュメント派対ポピュリズム派の大きな枠組みの戦いの代理戦争(proxy war)状態になっている。この選挙区はこれからますます注目を集めていくだろう。
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