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2021-11-08 14:18

サイバー安保政策でも直面するのは省庁間関係と再編の問題

古村 治彦 愛知大学国際問題研究所客員研究員
 サイバー空間の安全保障が現代では大きな課題になっている。バイデン大統領もサイバー戦争ということに言及したほどだ。具体的には、中国やロシアからアメリカへの攻撃がサイバー空間を使って行われているということだ。インフラシステムに侵入してその機能を停止させる事件が実際に起きている。また、SNSを使って、人々の考えをコントロールするケースも見られる。
 
 タヤナ・ボルトン、ブライソン・ボートによる「アメリカには閣議に参加できる長官を持つサイバー安全保障省が必要だ(America deserves a Cabinet-level Department of Cybersecurity)」(2021年6月30日付、ヒル誌)は、サイバー安全保障・社会資本[インフラ]安全保障庁(Cybersecurity and Infrastructure Security Agency、CISA)を国土安全保障省(Department of Homeland Security、DHS)の下にある現状から、独立させて、大統領直属の機関にせよ、という内容の論稿だ。
 
 この最新の課題が解決される上で直面することになるのが、古くからある省庁再編問題、予算や権限を減らされたくない省庁とそれらを増やしたい省庁とのせめぎ合いということになる。この手の問題は解決のため時間がかかる。課題の重要性よりも、省庁の予算や権限の方が大事となる現象は世界各国で起きていることだ。アメリカのサイバー空間での安全保障でも例外ではなく、それが起きているということだ。
 
 サイバー空間の安全保障ということになれば、国土安全保障省、国防総省、連邦捜査局(FBI)、中央情報局(CIA)などが絡む。しかし、国家情報関連についてはアメリカ合衆国国家情報長官(Director of National Intelligence)が統括している。これを応用すれば、サイバー安全保障・社会資本[インフラ]安全保障庁長官がサイバー安全保障関連を統括するということになるだろう。
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