揺れ動く情勢にバイデン政権は日米英豪ニュージーランド5ヶ国による「ブルーパシフィックにおけるパートナー(the Partners in the Blue Pacific)」という新たな枠組を創出した。9月22日の外相会合には欧州、アジアを含め12ヶ国が参加したが、中国の名前はなかった。ブリンケン国務長官は気候変動、インフラ強化など経済、社会開発に焦点を合わせた「諸国の優先課題、将来の希望に耳を傾けたい」と語った。安全保障分野を慎重に避けたのは「中国包囲網」ととられない配慮からだ。日本政府は1997年以来「太平洋・島サミット(PALM)」を3年ごとに日本で開催、21年7月の第9回首脳会合では菅義偉首相が「太平洋のキズナ政策」を発表した。「法の支配に基づく海洋」「透明性、債務持続可能性を重視した質の高いインフラ支援」を推進する方針を掲げ、中国による「債務の罠」に陥らないための配慮を訴えた。太平洋地域が南シナ海と同じく日本にとって死活的なシーレーンであることは80年前のミッドウェー海戦当時と変わらない。日本が米英豪など民主主義国とともに、この地域への存在感、働き掛けを強化する必要性はますます高まっている。