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2022-12-22 20:32
日本の外国人受け入れ政策と感染症
北田 徹矢
公務員
観光地にお客さんがくるということは、どういった影響を地域住民に与えるのだろうか。地域住民から見れば、街の中の住人以外おらず、観光客の姿を見ることも聞くこともない。人的交流を課せられた教育関係者や、政界関係者が出張である程度の限られた人数と交流することは予想できる。
それでは、観光客が宿泊先で病気になったとき、宿泊受け入れ先がどうするかを考えたい。まず考えられるのは常備薬の提供、冷たいタオルの提供、安静になれるベッドの提供である。数時間経過しても治らなければ、119番通報になるかと思われる。これが極めて稀なことを前提として、受け入れ先は対応している。
旅行者は富と健康を求めて宿泊、滞在するのであり、治療や療養を求めて来るのではない。2020年前後、世界的パンデミックが起きた際に、各国は外国からの人の出入りを禁止した。日本では官邸の判断で禁止した初めてのケースであり、受け入れ先が混乱しないよう、政府が出入国禁止を判断したかたちになる。出入国禁止判断が官邸で行う前例ができたが、検疫通過前の出国先での流行を踏まえたものであり、その後の受け入れ先でえき病が起きたことはまだない。
12月2日に日本では、法改正が感染症対策目的でなされた。これは各広域自治体が、管轄下の大規模病院と協定を結び、これを中心としつつ、すべての医院に対して、医療費審議会の意見尊重義務を課すものもある。法改正が先行し、令和6年の施行に向け、宿泊先受け入れ先と病院の連携がどうなるかは霧の中で全く予想がつかない。地域住民の中に、外国人観光客が含まれるか、ほかの広域自治体から来た観光客が含まれるかもまだ未知数である。懸念されることは、法改正後の疫病患者、宿泊者が生じた際、受け入れ先が対応失敗を報道機関に漏れることを恐れることである。情報が漏れないように機密に扱い死亡例が出ても、秘密にすることになりかねない。
労働法規制緩和の結果、人材が流動的になり、機微にわたることは不適になりがちで、受け入れ先の中間管理職が、疫病患者担当になるのではないか。その他、付き合いのある医療関係者に診察を頼むなど、超人的努力を強いられるきらいがある。法改正の死角にあたる入国後の外国人観光客から疫病がでたらという仮定論だが、疫病患者数増加率が何%以上のとき外国人の出入国禁止になるなど、明瞭な数値化が必要だと思う。経験がない以上、どういう影響が実際に出たか等の正確な数値は出てこないが、基準になる数値を地道に集めることが求められるだろう。
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