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2023-08-30 16:43
BRICSのメンバー加盟拡大は重層的で包括的な国際社会構造を生み出す
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
ブラジル、ロシア、インド、中国、南アメリカから構成されるブリックス(BRICS)という国際グループは、2001年にその概念が提出されたものだ。その後、21世紀を通じて、具体的な国際グループとして存在感を増してきた。
先日、ブリックスの首脳会談が南アフリカで開催され、新たに6カ国がブリックスに参加することが認められた。その6カ国とは、イラン、サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピア、アルゼンチンである。地図で見ていただくと分かるが、ペルシア湾と紅海(スエズ運河)、アラビア海、南大西洋、喜望峰、マゼラン海峡をがっちり抑えている。
今回参加を認められた6カ国以外にも加盟申請を行っている国々もあるようだ。これらの国々はブリックスだけにとどまらず、上海協力機構(Shanghai Cooperation Organization、SCO)、一帯一路計画(One Belt, One Road Initiative)にも参加している。様々な国際機関、国際機構に重層的に参加することで、非西側・非欧米諸国の関係が深まり、強固になっていく。今回、ブリックス通貨(BRICS currency)の導入は行われなかったが、脱ドル化(dedollarization)の流れは変わらない。非欧米諸国は金を購入しており、新たに金本位制を導入するかもしれない。アメリカという国家の「信用(脅し)」で持っているドルの価値が揺らいでいくことになるだろう。
中国が今年に入ってイランとサウジアラビアの国交正常化を仲介したというニューズがあった。今回のブリックス拡大に向けた動きであることが明らかになった。ヨーロッパと北米を南半球から、グローバル・サウス(Global South)が圧迫していくという構図が出来上がりつつある。
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