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2024-11-26 12:46
米大統領選挙の分析
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
アメリカ大統領選挙が終わって3週間ほどが経過した。結果は共和党のドナルド・トランプ前大統領(次期大統領)が民主党のカマラ・ハリス副大統領を破って二回目の当選を果たした。トランプは選挙人312人(一般得票約7700万票、約49.9%)、ハリスは選挙人226人(一般得票約7400万票、約48.3%)という結果になった。トランプにとっては選挙人だけではなく、一般得票でも勝利し、圧勝、完勝ということになった。一度敗れた前大統領が再び勝利を収めたのは100年以上ぶりのことだった。
前回は民主党のジョー・バイデン前副大統領(当時)が選挙人306名(一般得票約8100万票、約51.3%)で、共和党のドナルド・トランプ大統領(当時)を破った。トランプの獲得した選挙人は232名(一般得票約7400万票、46.8%)だった。この4年間で民主党はどうしてここまで票を落とすことになったのかということを、民主党自身が詳しく分析しているだろうが、各メディアでも出口調査の結果を基にして分析している。何よりも重要な原因となったのは、中絶問題を一番の争点として訴えて、経済問題を訴えることができなかった、アピールできなかったということになる。
民主党の支持基盤である、若者たち、ヒスパニック系、アフリカ系での支持を伸ばせなかった。ここに尽きるようだ。生活に密着する問題、インフレ問題について、バイデン政権も対策を行っていたが、それをアピールできなかったこと、更には生活実感として、そのような対策の効果を実感できなかったということである。インフレが直撃するのは所得が低い人々であり、そうした人々は、元々は民主党支持であったが、民主党がそうした人々の生活実感を救い取れなくなっている、また、都市部の中間層からエリート層が支持基盤となっているというところが大きい。また、有権者全体として、「経済問題はやはり、経営者出身のトランプだ」という感覚がある。
文化的、価値観に関する問題で選挙を戦って勝てることもあるが、アメリカで生活に不安を持つ人々、明日の生活もどうなるか心配している人々、家賃高騰のために車上で生活することを余儀なくされている人々は直近の生活問題を解決することを望む。生活が安定しなければ、社会的な問題について考えることはできない。民主党はそうした生活実感を取り戻すことができるかどうか、ここが重要になってくる。
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