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2025-04-08 09:28
トランプ大統領と相互関税
船田 元
衆議院議員
去る1月20日(米時間)に就任したトランプ大統領は、これまで外交や内政の様々な分野でサプライズを繰り返して来たが、今回は「相互関税」と称する関税率大幅アップを、各国ごとに指定した。中国は34%、日本は24%、EUは20%、イギリスは10%などである。なぜ日本が25%なのかは根拠が薄いが、多分にして日本との貿易赤字が関係しているようだ。
石破総理はこれまで、日本に対する関税率アップを極力回避するか、かけても低率であることを、再三に渡って米政府に働きかけてきたが、遂にその期待は裏切られた。日本政府としては早急に、高率関税の影響を受ける輸出企業をはじめとして、政府系金融機関などの資金繰り強化を打ち出した他、全国に1000ヶ所ほどの相談窓口を開設して、万が一の事態に備えようとしている。事態打開のため、石破総理のトランプ大統領との直接対話も取り沙汰されている。第二次世界大戦以後、世界各国は、戦争の原因が関税競争や経済のブロック化によることを反省して、貿易の自由化に舵を切った。ブレトンウッズ体制やGATT東京ラウンド、ウルグアイラウンド、WTOなど、様々な困難はあったものの、自由貿易体制は維持・強化され、それにより各国経済の発展につながったことは、歴史が証明しているところだ。
ところが今回のトランプ関税は、この流れを逆回ししているとしか思えない。高率関税を各国に課すことにより、米国内に製造業が回帰、もしくは新設され、新たな雇用と富が生まれ、再び偉大なアメリカが復活するというシナリオだ。しかしもう一つのシナリオは、高率関税によりアメリカの輸入物価、さらには国内物価が高騰し、消費が冷え込み、失業率が上がり、深刻な不況が訪れるという事態である。例えば日本の自動車メーカーが、これからアメリカ国内に新しい工場を建設し稼働させるまでには、4年から5年はかかる。新たな雇用が生まれるまでに相当な時間がかかるわけだが、それまでアメリカ国民はインフレを我慢するだろうか?アメリカや世界の投資家は、引き続きアメリカ国内に投資を続けるだろうか?答えは否である。
トランプ大統領の「相互関税」は、アメリカ経済を冷え込ませるばかりか、世界の経済に大きな打撃を与えることになる。まずはアメリカ国民がトランプ政権にNOを突きつけること。そして日本のみならず世界各国が、アメリカに対してNOと言わなければならない。
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