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2025-06-10 18:30

幼児教育の復活を

船田 元 衆議院議員
 かつての日本は幼稚園と保育所が並び立っていた。しかし行革を目指す審議会からは度重ねて、その両者を一元化すべきだという、いわゆる「幼保一元化」が叫ばれ、遂に「認定こども園」というハイブリッドの制度が出来上がった。さらに保育所に入れない待機児童をなくそうとの声が強まり、幼稚園の大半は認定こども園に切り替わっていった。

 認定こども園は幼稚園と保育所の両方の良い部分を併せ持った施設と言われるが、所管は保育所を所管するこども家庭庁であり、厚生労働省の色合いが濃厚である。そこにおける方針は「教育・保育指針」であり、保育的要素が大きい。一方幼稚園は文部科学省が所管しており、小中高校の学習指導要領に匹敵する幼稚園教育要領にしたがって、幼児教育が行われている。
 
 現在は認定こども園が主流となり、従来からの幼児教育を標榜する幼稚園は数少なくなっている。さらに認定こども園や保育所への公的支援は公定価格により行われるが、最近は保育士の処遇改善を求める強い声により、給与面の公定価格が飛躍的に改善しつつある。一方私立の幼稚園には、私立高校等経常費助成費で賄われているが、経営難の園が多く、人件費に回す資金が十分ではない。
 
 このため幼稚園を目指す教員はどんどん少なくなり、また入園者も著しく減少している。ならば認定こども園に転換すれば良いではないかと思われるが、幼児教育をしっかりやり、就学前教育の成果を上げて、小学校に繋いでいきたいとする教育者は少なからず存在する。また家庭教育と幼稚園での幼児教育を組み合わせ、しっかりと教育を受けさせたいというご家庭があることも、また事実である。もちろん認定こども園や保育所を充実させ、増大する保育需要にきちんと応えていくことは重要である。しかし同時に、幼児教育のニーズにしっかりと応えている幼稚園教育を残していくことも、行政の重要な役割ではないだろうか。
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