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2025-08-04 18:40

参議院選挙・・民意の示したもの

舛添 要一 国際政治学者
 7月20日の参議院選挙は、ほぼ予想通りの結果となった。自公は、過半数の維持に必要な50議席をとれず、参議院でも少数与党となった。獲得議席は、自民党が39(−13)議席、公明党が8(−6)議席、立憲民主党が22(±0)議席、日本維新の会7(+2)議席、国民民主党17(+13)議席、共産党3(−4)議席、れいわ新選組3(+1)議席、参政党14(+13)議席、日本保守党2(+2)議席、社民党1(±0)議席、NHK党0(−1)議席、再生の道0(±0)議席、みらい1(+1)議席、無所属・他8(+1)議席である。
 
 選挙区について、32の1人区は、自民党14勝18敗であった。石川、福井、鳥取・島根、山口など保守の強い地域では勝ったが、東北では福島のみ、四国では全敗、鹿児島でも敗退した。前回の2022年には、自民党は28勝4敗だった。比例区では、自民12(−7)議席、公明4(−3)議席、立憲7(−1)議席、維新4(−1)議席、国民7(+4)議席、共産2(−2)議席、れいわ3(+1)議席、参政7(+7)議席、保守2(+2)議席、社民1(±0)議席、N党(0(−1)議席、再生0(±0)議席、みらい1(+1)議席であった。得票数を見ると、自民12,808,306票、国民7,620,492票、参政7,425 ,053票、立憲7,397,456票、公明5,210,569票、維新4,375,926票、れいわ3,879,914票、保守2,982,093票、共産2,864,738票、みらい1,517,890票、社民1,217,823票の順である。
 
 最大の争点は経済である。物価高、それに対する無策の自公政権への批判が高まった。とくに米の値段が高騰したことが致命的である。5キロで二千円台だったのが、昨年の夏以降に倍の四千円台に跳ね上がり、それが、年が明けても続いていった。5月に小泉進次郎が農水相に就任してから、やっと価格が下がり始めた。米は、日本人の主食であり、毎日食べるものだ。この価格高騰に対して、国民がいかに怒っているかということに、石破政権は鈍感すぎた。その他の商品の高騰も、スーパーで毎日買い物をする国民にとっては深刻である。外国人問題では、様々な生活上の不満が外国人排斥に繋がっている。外国人による日本の不動産購入につては、先述した通りであるが、数多くのフェイクニュースが流れている。また、オーバーツーリズムもそうで、インバウンドが多額の観光収入をもたらしていることには頭が回らない。介護の現場、コンビニ、工場などで、技能実習生などの外国人労働者が不可欠となっていることも無視されている。
 
 選挙の敗北を受けて、石破首相は続投の意向を示している。しかし、昨年の衆院選、先月の都議選、今回の参院選と三連敗しており、退陣圧力が自民党の内外から強まることは確実である。続投できるかどうかは分からない。衆参両院とも少数与党となった今、自公に他の政党を加えて連立を拡大する方法はあるが、今の野党でそれに応じる政党はほとんどない。そこで、政策毎にいずれかの政党の支持を調達するという綱渡りの政権運営をせねばならない。政治が不安定化するのは必定である。日本本の政治は大きな曲がり角に来ている。
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