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2007-12-24 17:36
民主党の新テロ特措法への対案を歓迎する
吉田康彦
大阪経済法科大学客員教授
民主党が政府のインド洋における給油継続のための新テロ特措法に代わる対案を、12月21日、国会に提出した。国連決議にもとづくアフガン復興支援のためのPKO参加が骨子になっている。国連決議を前提とし、さらにアフガン民衆のための直接支援を日本の国際貢献としている点で、日本政府による日米同盟堅持のための洋上給油活動よりは普遍性があり、前進である。
テロ特措法の失効にともなう海自の補給艦撤退いらい2カ月近いが、それによって「不朽の自由」作戦が重大な支障をきたしたという事実はないようだ。この作戦は、ブッシュ政権がテロとの戦いのために「個別的自衛権」行使として始めたもので、国連決議の洗礼を受けていないというのが小沢民主党党首の反対理由だった。
これに対し、政府はアフガン本土に展開している多国籍軍ISAF(国際治安支援部隊)の駐留延長を認めた安保理決議1776の前文に「洋上給油に感謝する」旨の表現を挿入させて、これをもって「国連のお墨つき」が得られたと説明したが、無理がある。「不朽の自由」作戦そのものが国連の平和構築活動に転換したわけではないからだ。
小沢代表の「国連至上主義」には批判もあるが、日本にとってはより望ましい選択である。安保理決議は、こんにち唯一の普遍性と正当性をもつ国際社会の決定であり、中ロ両国が賛成する(少なくとも「反対しない」)ことが採択の条件なので、米国の独走を掣肘し、日本の対米追随の歯止めにもなる。
ただし小沢氏の主張に欠けているのは、日本としての主体性である。国連決議を金科玉条とする以上、その意思決定プロセスに日本が加わっていることが不可欠だ。その意味で、直ちに実現困難であるにせよ、安保理常任理事国入りを同時に日本の国際貢献の条件として提示し続ける必要がある。そうでないと、日本不在のままの国際社会の決定に唯々諾々と従い、経費だけを負担させられる従来の構造と変わらないことになるからだ。
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