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2008-01-05 14:54
救急医療無策は政治の犯罪
杉浦 正章
政治評論家
政治の無為無策ぶりを露呈しているのが、物価急騰に加えて、全國で発生している救急患者たらい回し事件だ。優秀な政治家なら支持率獲得のチャンスと見て、飛びつくが、政府の対応はまるで他人事。政治センスの問題に帰着する。札付きの厚労省官僚に任せて処理できる問題ではない。政治が出る場面だ。年頭記者会見で首相は「生活者、消費者の主役の年にする」と述べたが、救急医療の問題ほど生活者としての市民が不安かつ不愉快に思うことはあるまい。
妊婦たらい回しの死亡事件は、痛ましい限りだったが、今度は東大阪市で、何と救急センター5か所たらい回し死亡事件が発生した。民放のコメンテーターは「これは犯罪だ」とコメントしたが、そうではない。犯罪であるとしたら政治の犯罪だ。政治の無策の犯罪である。マスコミはとかく非情なたらい回しに焦点を当て勝ちだが、総じて医療現場は身を粉にして、献身的な医療活動をしている。搬送拒否はよくよくのことがあってのことと考えるべきだろう。この国の医師は人格的にも信頼できる人物が多い。医師不足、とりわけ12年間に1200施設が閉鎖された産婦人科医不足も深刻だ。
イギリスでは医師不足に外国からの医師受け入れで対処しているが、これも開発途上国の医師を奪うことになれば問題だ。当面自治体や医療機関が緊密に連携した広域的な救急体制を整備すること、ITを活用した緊急搬送網の確立などが誰でも思いつくことだろう。しかし、鉈で切るような抜本策が医療行政にない限り、生き延びる命が失われる事態が続く。官僚の発想を超えた政治家の発想が必要なのだ。利根川から東京へのバイパスを造って、オリンピック直前の東京の水不足を解消した、河野一郎的な発想の転換が必要なのだ。
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