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2008-03-28 08:03
新銀行追加出資に都議会“口利き”の構図あり
杉浦正章
政治評論家
ごうごうたる世論の反対を押し切ってまでなぜ都議会自民党と公明党が新銀行東京への出資賛成に回ったかである。かねてから疑問に思っていたが、東京新聞がその一端を明らかにした。議員らの“口利きの構図”である。口利きで資金1000億円の食いつぶしに加担していた、のでは清算するわけにはいかない。これは斡旋収賄罪などで刑事事件化出来る背景があるのではないか。東京地検は何をしているのだろうか。
東京都議会は、本日(3月28日)の本会議で新銀行東京に都が400億円を出資する議案を、自民、公明の賛成多数で可決する。これに関連して東京新聞は同日朝の社説で、自民、公明両党は旧経営トップの参考人招致の動議を否決した問題を取り上げている。そして否決の理由について「融資を口利きした企業の経営破綻(はたん)が発覚するのを恐れたようだ」と、ショッキングな事実を明らかにした。都議会の取材に力を入れている一流紙の社説で紹介するのであるから、かなり確証があるのだろう。そして「そう疑ってかかる都庁職員は少なくない」とも述べ、都職員の間でも口利きが定説になっていることを明らかにした。更に社説は、都議会審議の実態について「審議の内実は利害を共有する身内同士の談合であり、独善と言わざるを得ない。民主党も新銀行設立に賛成した過去を引きずり、動議否決では与党に同調してしまった」との実情を明らかにした。
これはおそらく民主党にも口利きがあり、追及が弱くなった原因ではないか。最大会派の自民党に至っては、審議が始まって早々に賛成を表明し、新銀行に関する質問はほとんどなかったという。東京新聞の指摘からみると、新銀行が窮地に陥った原因の一つは、都議会議員らがよってたかって出資金1000億円の一定部分を食い散らかした構図である。おそらく都知事も何らかの口利きをしていただろうと思われる。確かに都知事石原慎太郎は当初、旧経営陣に責任を全て転嫁し、刑事事件化する方針まで明らかにしていたが、その後旧経営陣批判を急速にすぼめた。何があったか霧の中だが、恐らく旧経営陣を批判し続けると、口利き問題暴露に直結すると警戒したのかもしれない。やぶ蛇をおそれたのであろう。
こうみてくると、新銀行東京への400億円の出資には都議会の巨大な闇が浮き彫りになってくる。ここは黒白をはっきりするために、公的機関が動き出すときだ。金融庁の査察はもちろんのこと、検察庁も動き出すべき場面ではないのか。もし口利きにキックバックがあれば贈収賄が成立するのではないか。放置したのでは社会正義が成り立たない。
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