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2008-07-14 08:08
森の「話し合い解散」発言と小沢の対応
杉浦正章
政治評論家
最近の政治家の発言で注目すべきは、元首相・森喜朗の話し合い解散に関する発言だ。森は「予算成立後の話し合い解散」に言及している。狙いは少しでも解散を遅らせようとするところにある。しかし民主党代表・小沢一郎はあくまで秋の臨時国会での解散に追い込もうとするだろう。今後解散時期をめぐって秋か予算成立後かの綱引きが展開されるだろう。その力関係によって年末から通常国会冒頭の話し合い解散も視野に入ってくるかもしれない。
現段階における与野党攻防の図式は、後期高齢者医療制度と物価高騰、年金問題からくる内閣支持率低迷で、与党が圧倒的に不利な政治状況にある。この状況をいかに離脱して少しでも有利な状況を作り、解散総選挙に持ち込むかと言うことである。しかし任期満了選挙は歴代首相でただ一人三木武夫が実施して大敗北を喫した。野党に追い込まれたのである。当初来年9月の任期満了選挙を主張してきた森や小泉純一郎らも最近では任期満了までは引き延ばす事は無理と表明、自民党内は任期満了選挙なしで一致してきたといえる。森は「4月1日から水道の水が出るようにしておいて、与野党話し合い解散をやっても良い」と来年度予算成立後の4月の与野党話し合い解散を唱えている。一方自民党選対委員長古賀誠は「通常国会冒頭に歳入、歳出法案を提出して決断するか、成立させて3月末か4月に入ってからか。この辺が1つのめどだ」と通常国会冒頭解散まで言及している。いずれもポジションが任期満了より前倒しになった。任期満了選挙が「野党に追い込まれる」ということがようやく分かってきたようだ。
与野党話し合い解散は福田が首相就任前の記者会見で言及しており、福田にはかねてからその志向がある。問題は森の提起した話し合い解散に小沢が応ずるかどうかである。森の狙いは言うまでもなく解散・総選挙を不利な秋の臨時国会から少しでも遅らせるところにある。小沢にしてみれば、数々の“失政”に国民の怒りが収まらないうちに解散に持ち込みたいのであり、その怒りの火が一番強く燃えさかるよう臨時国会で数々の戦略、仕掛けを打ち出してゆくに違いない。解散は早ければ早いほど良いのである。
従って小沢は、森の言う来年4月の話し合い解散に当初は耳を貸すまい。あくまで臨時国会で激突して、相手のダメージを見て対応を考えるに違いない。与野党の解散綱引きは、秋の臨時国会と予算成立後の来春を双方のポジションとして行われるだろう。その力関係に加えて、往々にして発生するスキャンダル、失政などの突発事態が解散の時期を決めることもある。従って大きな流れとしての解散時期は秋の臨時国会末、年始の通常国会冒頭、予算成立後などに想定されてくるだろう。小沢が話し合い解散に耳を貸すとすれば臨時国会末の年末か遅くとも通常国会冒頭の解散だろう。その時期なら話し合い解散に乗っても民主党にはまだ有利な状況が続いている可能性があるからだ。いずれにせよ、福田の支持率の劇的な好転は望めず、与党が不利な状況での選挙戦となる方向は変わりがない。
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