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2008-07-15 20:26
ゲームの手法を無視している日本の対露外交
宮脇磊介
初代内閣広報官・宮脇磊介事務所代表
外交は、それぞれの国の国益を実現し、国益を守るためのゲームであり、砲火を交えない戦争である。そこでは、腕力ではなく智力の強弱が勝敗を決する。相手国の国益の実体を測り、主張(論理)を吟味し、国際社会の理解と世論を自国に有利なように醸成することなどは、ゲームの手法から見えてくる戦略的思考である。一般のゲームにおいても、初心者と高段者では雲泥の差があるように、外交に関わる政治家、ジャーナリズム、学者・研究者などの間でも、外交に関するゲーム力の力量には大きな差がある。この当然の事実を認識することが肝心である。
日本の対ロ外交は、相手国の国益を見詰めること抜きに、北方領土返還一本槍であった。しかも、相手の動きを忖度して「四島だ」「二島だ」と、バラバラにやってきたり、ロシア首脳の意向を測りかねて、前進のチャンスを逃したりしてきた。また、北方領土返還は日本国民の悲願ではあっても、「返還」という言葉がどれだけロシアの関係者の心情を逆なでするものかを、日本国民は必ずしも理解していない。少なくとも外交のゲームにおいては「悪いことをしたから返せ」という感情ムキ出しでは、問題はなかなか解決しない。四島帰属について主張すべき論理を揺るぎなく貫くと共に、相手国の国益と心情に理解を深める、チエある態度こそが問題解決への道なのである。
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