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2008-10-15 07:49
民主党は自らの“黒い霧”を徹底解明せよ
杉浦 正章
政治評論家
民主党のマルチ商法業者との癒着問題が、総選挙に向けて快進撃を進める代表・小沢一郎を直撃し始めている。というのも中心となった議員連盟が、小澤の側近ばかりで構成されているからだ。問題は焦点の衆院議員・前田雄吉だけが疑惑の資金を受けたのか、他の側近にまで及んでいるのかという一点に尽きる。また前田の業界擁護の国会質問が、“斡旋収賄罪”に相当するのかどうかも注目点だ。かって「繊維族」を巻き込んだ撚糸工連事件をほうふつとさせる問題をはらんでいる。政権政党となる可能性のある政党だけに、小沢は自ら徹底調査を指揮して、“黒い霧”の全容を明らかにすべきである。
小泉政権のころは自民党議員に不祥事が発覚すると、なぜか民主党議員にも同様の不祥事がリークされ、“相打ち”になるケースが多かった。政権側がいかに豊富な情報を保有しているかと言うことであるが、安倍、福田両政権ではこの傾向がなくなり、もっぱら民主党からの“追及”を受けるという受け身のケースばかりであった。今回は久しぶりの民主党側の不祥事だ。しかし、一議員がマルチ業者から献金を受け取っていたというだけなら、問題は一過性で通り過ぎるが、今回は構造的な問題を内包している可能性がある。というのも前田が事務局長の「ネットワークビジネス推進議員連盟」幹部は小沢の側近ばかりで構成されているからである。
まず結成に動いたのが民主党副代表の石井一で、議連の名誉会長。会長は党最高顧問・藤井裕久、顧問が党国対委員長・山岡賢次という顔ぶれである。藤井も山岡も側近中の側近だ。これらの議員が前田と同様に業界から資金提供を受けていないかどうか、が焦点となるのは言うまでもない。また前田が業界擁護の質問を繰り返していた点が重要だ。既に前田の質問については、共産党が5月に国会で取り上げており、業界との癒着を指摘している。おまけに前田は経済産業省から業務停止命令を受けたマルチ商法業者からの献金を受け取っている。国会で質問する際も、業界団体と事前に電話で打ち合わせをしたことを認めている。野党の議員が業界の意を受けて国会で質問し、斡旋収賄罪で起訴された例は過去にもあり、そこまで行くかどうかが注目点だ。
例えば、1986年に野党の質問でも受託収賄罪が成立するかどうかで注目された撚糸工連事件は、民社党の代議士・横手文雄が同罪で起訴され、最高裁で有罪が確定している。小沢は記者会見で「非常に不適切な行為だ」と述べ、前田から事情聴取をするとともに、マルチ商法をめぐる国会発言なども調査した上で対応する方針だ。しかし、側近で構成する「ネットワークビジネス推進議員連盟」の調査なくして、問題は解決しないのではないだろうか。同議連が業界から献金を受けていたのかどうか、受けていたとすれば規模はどのくらいか。これが他の議員の国会活動にどのような影響を及ぼしたかなど、調査すべき点は多い。組織的な疑惑かどうかも含めて、明白にしない限り、民主党を覆い始めた“黒い霧”は晴れない。
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